「自分はなんてツイてないんだろう」、そんな風に思ったことはありませんか。ズルや不正をしている訳ではない、真面目にやっているつもりなのに、努力が報われないと感じたり、良かれと思ってやったことが裏目に出たり。

それ、全てがすべて、あなたの「行動」に問題がある訳ではないのです。 たとえば、久しぶりの週末デートの時、楽しみにしていたのに当日になって台風が来て空は大荒れ、どこにも出掛けられなくなってしまったと仮定しましょう。

そんな時あなたは、自らの不運を呪って1日を不機嫌に過ごしますか。それとも、「最近疲れがたまっていたから、ゆっくりできてよかった」と思いつつ読書でもしながら有意義に過ごすでしょうか。

実はこの“物事の捉え方の転換”にこそ、大きなヒントが隠されているのです。

そう、意識すべきは行動ではなく「物事の意味を変える」ということです。

そのために、自分が持っている枠組み(フレーム)をずらす・変えることを「リフレーミング」と呼びます。

リフレーミングは、問題とされてきたこと、否定的なことをその人のリソースに変えるきっかけにさえなるメソッドです。

ぜひとも実生活に取り入れてほしい、魔法のような思考法です。

この記事では、リフレーミングの方法論から実践的な応用テクニックに至るまで、リフレーミングを徹底解説していきます。

リフレーミングを会得することで、あなたの人生がより軽やかに、そしてよりよい方向へと動いていくことを願いつつ、ナビゲートしてまいります。

もくじ

1.リフレーミングを体験してみましょう

2.リフレーミングで思考が前向きになる理由

3.悩み別、リフレーミング応用テクニック

4.リフレーミング辞典

5.おすすめの本

6.まとめ




1.リフレーミングを体験してみましょう

ひとくちに「枠組みを変えよ」といきなり言われても、ピンと来ない方もいれば「何となくわかるけどやり方が合っているかどうかわからない」という方まで、さまざまだと思います。

そこでこの章では、具体例をもとにリフレーミングの方法論について解説していきます。

すぐに実践できるリフレーミング・テクニックのイロハを身に付けてしまいましょう。 まず、リフレーミングとは物事の「状況」や「意味」を考えることが重要です。解説すると

  • 状況のリフレーミング|今、訴えられている(あるいは自分自身が置かれている)問題は、どういう状況でならふさわしいのか、を考えること。「評価」が変わる状況が見つかるまで、考えを巡らせてみてください。
  • 意味のリフレーミング|訴えられている(あるいは自分自身が置かれている)問題が、肯定的な意味合いを持つような枠組みはないだろうか、を考えること。あらゆる角度から光を当ててみて、より良い「描写」ができないものかを自問してみてください。

この2つの思考法を習得できるよう訓練していきましょう。より確実に定着するように、次の項で具体例を交えて説明していきます。

自分の性格を何とかしたい

ケース1|自分の「貪欲」な性格が気になっているという場合

この場合も、2つのリフレーミングによって枠組みを変えることができます。

  • 状況のリフレーミング|「貪欲であること」が重要とされる状況を想定します。たとえば、進学のように何か新しいことを学ぶ必要がある時や、新天地で積極的に人と関わり交流関係を広げていこうとする場面などが挙げられます。
  • 意味のリフレーミング|自分自身がどんな行動を「貪欲」と見なしているのかを見直すことから始めます。その上で「命名し直す」のも一つの手です。たとえば貪欲という言葉に若干の否定的なニュアンスが含まれているのであれば、肯定的な言葉に言い換えてしまいましょう。貪欲改め「自分に必要なものを手に入れること」でも良いのではないでしょうか。大切なのは、あくまでポジティブなイメージへと転換させることです。

自分以外の人の性格を何とかしたい

ケース2|自分の娘の「頑固さ」に悩んでいる父親の場合

  • 状況のリフレーミング|「頑固さ」が有用に働く状況を想定します。相談者のこの父親は銀行員であり、これまで着実に出世を遂げてきた背景には自らの粘り強さ・堅実さがあったのではないかと対話の中で促します。そうすることで、頑固=ネガティブなものではなく、素晴らしい性格であると再定義するのです。

    また、頑固な性格の持ち主であれば、娘さんが万が一、下心のある男性とデートに行ったとしても流されず自分を守ることができるかもしれません。そういった価値付けも忘れずに行います。

  • 意味のリフレーミング|父親にとって、娘の頑固さは自分への反抗心だと捉えられていましたが、そうではなく賞賛に値する性格であることに気づくことができます。またそれは自分の性格の遺伝でもあるため、このような娘に生み育てたこと自体が、父親自身の「業績」であるとも捉えられ、溜飲を下げることができました。

他人の行動を何とかしたい

ケース3|妻の優柔不断ぶりにイライラしている夫の場合

Tシャツ一枚買うにも店中の品物を全部見ないと選べないほどで、困っているとして

  • 状況のリフレーミング|「洋服選び」のような、自分(夫)にとって“どうでもいいこと”だからこそ「こんなに時間をかけるなんて!」と批判したくなるもの。しかし人生を左右するような局面であれば、優柔不断さは一転「慎重さ」という評価になります。
  • 意味のリフレーミング|視点をずらせば、妻は軽はずみな決断や行動ができない、信頼がおける人物であるということ。そのような人に一生を添い遂げる相手として選ばれたのだから、むしろ光栄に思うべきである。――こう捉えることで、解決に至りました。

自分の気持ちを何とかしたい

ケース4|上司に叱責されてみじめな気持ちになり、悩んでいる場合

  • 状況のリフレーミング|上司がしているのは叱責ではなく「忠告」であると捉えてみてください。上司は決して忌々しく思っているのではなく、あなたの仕事に注目しているがゆえに「もっとこうすれば…」と気になって声を掛けたくなるのではないでしょうか。
  • 意味のリフレーミング|目を掛けられるというのは、仕事ぶりに好意を持っている証拠。もっとよくやってほしい、という期待の表れに過ぎません。こう転換することにより、上司の叱責に対しても「もっと頑張ろう」と前向きに考えられるに至りました。

2.リフレーミングで思考が前向きになる理由

リフレーミング解説の代表作『リフレーミング―心理的枠組の変換をもたらすもの』(リチャード バンドラー・ジョン グリンダー著)によると、リフレーミングは以下のように説明できます。

人が何かの感覚体験を不快だと感じる時、実際には、その感覚体験が引き起こす反応を不快がっているのです。

反応を変える一つの方法は、感覚体験そのものが反応の原因ではないのだと理解することです。経験の内的意味を変えれば、反応も変わります。

この章では、リフレーミングとは一体何なのか、基礎から一歩踏み込んだ考え方に至るまで、改めて解説していきます。

2-1.そもそもリフレーミングとは

リフレーミングとは、神経言語学的プログラミング(NLP)の方法に基づく心理臨床の方法論の一種です。

解説すると、神様になり代わって誰かから選択肢を取り上げるのではなく、その人が望んでいることとうまく調和するような選択肢を増やしてあげること、これこそがリフレーミングです。

リフレームのように、物事をいろいろな方向から考えてみることは幅のある理解力を築きます。そしてこのことはすなわち、あなた自身の人間としての幅も広げることになるのです。

2-2.6段階リフレーミングについて

リフレーミングの活用法として「6段階リフレーミング」というものがあります。

これは「やるべきことがわかってるのに前に進めない」「やる気が湧かない」と言った場合に効果的な思考法であり、あなたの実生活においても非常に役立つはずです。

それでは、具体例を交えて説明していきましょう。

  1. やろうとしているのにできないことや、抵抗を感じていることを特定します。
  2. それを体験している自分を想像します。抵抗があるけども無理やり行動していくと、身体にさまざまな反応が起こると思います。それこそが自分の中にいる「抵抗する自分」です。
  3. その存在(抵抗感)を認めて受け入れてあげましょう。
  4. 「抵抗感を持つ自分」とコミュニケーションを取っていきます。「何を思ってるの?」と、自分の内側にある気持ちに耳を傾けてあげてください。
  5. 「抵抗する自分」が持つ、真の要求を探っていきます。例えば「怖い」と感じているがために動けないという問題点があるのだとしたら、動けないことで得られるメリットについて考えます。もしその答えが「自分が守られている安心感」なのであれば、本来求めていたものが自ずとわかるはずです。
  6. 方法を変えてもらうための代案を考えます。「動かない」以外の方法で「安心感」を得られる選択肢はないのか、内なる自分とともに探っていきます。こうした結果、動かないという問題行動を解決することができるのです。

2-3.システムのリフレーミングとは

ここまでは、対自分ないし対個人におけるリフレーミングについて解説してきました。

ここからは、より大きな枠組み、つまりは夫婦・家族・組織のリフレーミングについて考えていきましょう。

  • 前提|システムの成員すべてのニーズ・需要を考慮する必要があります。そして、誰か一人でも否定的な反応を引き起こしているならば、そのメッセージに気づくことです。
  • ケース|厳格な父親が自分の子に対し「門限を守らなかったら、1年間おこづかい抜きだ」と言っているとしましょう。そんな風にいきなり言われた子供は「子供扱いして!」と反発します。

しかし父親にしてみれば、子供扱いをしたい訳ではなく、ただ自分の理想とする大人に育ってほしい、それだけなのです。

では、父親が理想とする人物像は?と紐解くと、どうやら「自立した大人」ということのようでした。

ここで振り出しに戻ると、父親が家族の中で伝えるべきメッセージは単に「門限を守れよ」ということではなく「他人に迷惑を掛けずに責任ある行動を心がけなさい」ということ、むしろ門限とは無関係だったことが発覚しました。

このように、システムの中での食い違いをただし、認識をすり合わせることができるのもリフレーミングの効用です。

3.悩み別|リフレーミング応用テクニック

そもそもリフレーミングとは、「物は捉えよう」といった教訓めいた言い伝えではなく心理学における臨床メソッドです。

現在の好ましくない状況を克服するという効用をもたらすプログラムです。

そこでここでは、応用テクニックをご紹介。リフレーミングを活用し、ビジネスや実生活においてワンランク上の変革を起こせるようになりましょう。

ビジネスに活かせるリフレーミング

「意識内容のリフレームは、セールスの真髄」という名言も囁かれる通り、セールスにとってもこのリフレームは有効だといわれます。

たとえば、クルマのセールス。「安心なクルマ」を求めるとある顧客がショールームに訪れ、こう言い放ちました。

「こんなレーシングカーみたいな車に乗るなんて信じられない」

この場合、デキるセールスだったらこうします。「確かに、いかにもですよね」とあえて同調したそぶりを経て、

「パワー/加速の素早さ/道が濡れていようとカーブだろうと走りが安定している」といったスペックについて説明です。

すべて「相手の求めるもの」であり、これらの安心感はレーシングカーだからこそ備えうるのだと説得に入るのです。

こうしてデキるセールスは、顧客が当初抱えていたデザインに対する抵抗感をいともあっさりリフレーミングしてしまいました。

またセールスの2つ目の極意として「価格」に対する抵抗感もリフレームすることを忘れてはなりません。

たとえばローンを組むことで、毎日の支払いがラクになる上、払い終わった時にもまだ乗れる車を所有している…といったところでしょうか。

これらのテクニックを駆使できれば、リフレームはビジネスにおいても有用な思考法となりえるのです。

心の病の克服にも有効なリフレーミング

リフレーミングは、拒食症の治癒にも有用です。

ここではある実験内容とその結果を用いて説明していきます。

拒食症に悩んでいる少女とその家族全員を集め、マジックミラーのある部屋に入らせます。

テーブルの上にはホットドッグが大盛り。そんな中、一人の医師が部屋に入ってきて家族にこう言いました。

「15分経ったら戻るので、お嬢さんに食べさせておくように」

しかしこれでうまくいくのであれば、苦労しません。

家族は皆ホットドッグを無理やり少女の口にねじ込もうともしましたが、食べさせることはできませんでした。

戻ってきた医師は、少女と二人きりになり、叱責します。

「いつからこんなことをして家族の気を引いているのか」

一見、荒療治のようですが、実はこの方法で多くの患者が拒食症を克服しています。この療法には、以下のリフレーミングが存在しているのですが、お気づきでしょうか。

  • 状況のリフレーミング:「病気ではなく意識的に食べないのだ」と刷りこむことで、知覚の判断のフレームを揺さぶり、「食べられない病気に罹ってしまっている」という思い込みの枷(かせ)を外させました。
  • 意味のリフレーミング:問題の行動(拒食)の目的が、家族の注意を引くためであると転換することで、それに代わる手段を見出すように仕向けました。

これらの「ずらし」をきっかけに、拒食症患者であった少女は着実に治癒の道を歩んでいます。

4.リフレーミング辞典

「ああ、また憂鬱だ」

「私ってどうしてこんなにダメなんだろう」

といったネガティブな気持ちになったら、こちらをご覧ください。

あいうえお順に、視点を切り替える方法を列挙させていただきました。

その名も「リフレーミング辞典」。壁を感じたら眺めて、少しでも気持ちを上げてください。

【あ行】

○飽きっぽい⇒素直 ・ 従順 ・ 好奇心 ・ チャレンジ精神旺盛な ・ 刺激が好き

○いいかげん ⇒おおらか ・ こだわらない ・ 寛大な

○打たれ弱い ⇒期待に応えようと精一杯頑張ろうとする

○落ち込みやすい⇒真面目に考える ・ 謙虚

【か行】

○勝ち気な ⇒向上心がある ・ 自信がある

○気難しい ⇒自分をしっかり持っている ・ ブレない

○暗い ⇒自分の世界を大切にしている ・ 思慮深い ・ 人を落ち着かせる

○けんかっ早い⇒人に遠慮しない ・ 誰とでも対等に付き合おうとする

○子どもっぽい ⇒天真爛漫 ・ 明るい ・ 場の雰囲気が和む

【さ行】

○騒がしい ⇒元気 ・ 明るい雰囲気にできる

○しつこい ⇒粘り強い ・ 芯が強い ・ 徹底的に物事に取り組む ・ 徹底している

○すばしっこい ⇒俊敏 ・ 気転が利く

○責任感がない⇒自由な ・ 悠々自適 ・ 大胆

○外面(そとづら)がいい ⇒社交的な ・ 協調的な ・ 明るい

【た行】

○だらしない ⇒おおらか ・ ゆったりしている ・ こだわらない

○つまらない⇒必要以上に華美にしない ・ 清楚な ・ 個性的な

○照れくさい ⇒素直 ・ 奥ゆかしい

【な行】

○泣き上戸 ⇒感受性が強い

○のんきな ⇒おおらかである ・ 信念のある ・ 冷静

【は行】

○反抗的 ⇒自立心のある ・ 自分の考えを理解している ・ 考えがはっきりした

○ふざける ⇒陽気な ・ 明るい雰囲気にできる ・ ノリがいい ・ 自分の思いに素直に行動できる

【ま行】

○マイペース ⇒自分らしさをもっている ・ 自分の世界をもっている

○目立たない ⇒素朴な ・ 自分の世界を大切にしている ・ 協調性がある

【や行】

○やる気がない ⇒冷静に機会を窺っている

○余裕がない⇒精一杯に生きている ・ 全開で人生を楽しんでいる

【わ行】

○わかりづらい⇒未知なる魅力に溢れている<h2>

5. おすすめの本

それでは最後に、リフレーミングについて学べる書籍を紹介します。

『リフレーミング―心理的枠組の変換をもたらすもの』著|リチャード バンドラー・ジョン グリンダー

NLPの創始者による講義を起こした、リフレーミング解説の代表的な著書です。

何より事例が豊富なため、あらゆるケーススタディを読み進めるうちにリフレーミングの構造について反復的に理解することができます。

また専門書でありながら受講者との対話調での記述が多いためシーンがイメージしやすく、比較的読みやすい点もおすすめです。

『悩まない!技術 人生を変えるリフレーミング思考』著|堀 公俊

スティーブ・ジョブズ、なでしこジャパン、徳川家康など、著名人が実際に使っていた思考法をまとめている本です。

「リフレーミング思考を使えば、悩みの99%は克服できる」と謳うほど、著者の自信が垣間見える一冊です。

6.まとめ

起きてしまったこと、それ自体は変えられません。

しかし、それを捉える枠組み(フレーム)を変えることによって、不快だとか否定的に感じる反応をポジティブな反応にしていけるのがリフレーミングです。

この記事では、対自分、あるいは対他人、また対組織といったあらゆる単位におけるリフレーミング療法を紹介してきました。

あなたが今後迎えるさまざまな人生の局面において、本稿のケーススタディを活かしていただけるのであれば幸いです。

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