目標や夢を実現させるために、自らの精神や行動をコントロールすることを「自己管理」といいます。方法論のひとつのように思えるかもしれませんが、目標達成や夢の実現、なりたい自分になるためには、自己管理の能力が必須です。

本記事では、偉業を成し遂げた著名人たちがどのような自己管理をしているのかという具体例から、自己管理のポイントやメリット、テクニックなどを紹介していきます。




1.著名人の自己管理術 

「一流」と言われる人の多くは、自己管理を徹底的に行なっています。スポーツ選手、経営者、クリエイター。その道の「一流」と言われる人が行なっている具体的な自己管理ノウハウを紹介していきます。 

イチローの自己管理術 

「自己管理」というキーワードで多くの人がはじめに連想するのは、イチロー選手ではないでしょうか。

  • 日本のプロ野球史上最速で1000本安打を達成
  • 日本のプロ野球史上初の7年連続首位打者
  • メジャーリーグ入団後、MVP・新人王・首位打者・盗塁王を獲得
  • メジャーリーグ史上初10年連続で200本安打達成

日米での活躍をカンタンにピックアップしただけでも、これだけの輝かしい成績をおさめているイチロー選手ですが、彼の自己管理術はテレビや雑誌などでたびたび特集されています。なかでも特徴的なのが「ルーティンを大切にする」ということです。

イチロー選手は、起床から就寝まで、1日の行動パターンが決まっています。驚くことに、食事までもルーティン化しており、毎日の定番食は弓子夫人手作りのカレーライス。試合開始の5時間前には球場に入り、“いつもと同じ”練習を行ないます。

走り始める時の足の出し方やバッティング練習での力の入れ具合と打つ方向。打席に入った後の特徴的な構え方など、すべてをルーティン化することで、自分の体に生じるわずかな違和感も見逃さないようにしています。違和感にすぐに気づけるから、すぐに調整できる。調整できるから、常にベストな状態でプレーができるようになる。その結果、高い成績を安定して出し続けることができています。

柳井正の自己管理術 

『ユニクロ』のブランドで、世界的に有名なファストファッション企業にまで登りつめた株式会社ファーストリテイリング。同社の会長兼社長を務め、資産総額2兆4274億円で長者番付日本一に輝いた人物が、柳井正氏です。

柳井氏は長年、自らの夢や理想、さらには不安や悩みをすべてノートに書き続けてきました。毎日書くことで常に自分と対話をし、頭をクリアな状態にすることが、日々の仕事に好影響を与えると言います。柳井氏の著書には以下のように記されています。

“若いころから、寝る前に続けてきた作業がある。自分の考えをノートにまとめること。自分の仕事を通じて、将来、どういう人物になっていきたいのか。自分の会社を通じて、この世にどのようなことを実現していきたいのか。自分の生きてきた証をいかに世に残すのか。どれだけ社会貢献できるのか。そんなことを少しずつ、私はノートに書き連ねてきた。

ノートに書くのは、自分の夢や理想だけでなく、時に不安や悩みのこともあった。それらを文字にまとめることで、不思議と自分のモヤモヤが晴れていく気がした。血を吐くような不安におそわれても、私はこうすることで、なんとかひと筋の坂道を登ってくることができた。人の一生とは、自分の志を遂げるためにある。そう私は信じている。”(出典:『現実を視よ!』著|柳井正)

小林賢太郎の自己管理術 

「爆笑だけがおもしろいわけじゃない」という笑いに関する独自の解釈を持ち、舞台を中心に活躍するお笑いコントユニット『ラーメンズ』。舞台のチケットは、発売開始後即完売。ラーメンズにおいて、舞台の構成・脚本・演出までをすべて手がけているのが小林賢太郎という人物です。彼が手掛ける舞台は「日本で最もチケットが取れない舞台のひとつ」と言われています。

芸人・俳優・劇作家・パフォーミングアーティスト・演出家・漫画家・アニメ監督…とさまざまな領域で、類稀なるクリエイティブセンスとカリスマ性を発揮している小林賢太郎氏。そんな彼が大切にしている自己管理術が2つあります。

1つは、「仕事を重ねない」ということ。つくる作品のクオリティを、毎回最高のものに仕上げるためにも、ひとつの作品をつくり始めたら、小林氏は生活のすべてをそこに向けるようにしています。自らの集中力を最大限に高めることが、最高のアウトプットを可能にする条件であることを、小林氏は体で理解しています。

そしてもう1つは、自らのゴールデンタイムを見つけて、その時間に仕事を行なうということ。小林氏の場合は、朝6時からの1時間半。集中力を要する本気の創作活動を、余計な情報が入っていない起きたばかりの状態で行なうため、生産効率がとてもいいそうです。良質な創作活動を行なうためには、集中力が大事であり、集中できる環境を自らつくるのがポイントです。

2.自己管理をするために心がけるべきポイント

そもそも「自己管理」は、意識するだけでできるようになるものではありません。また、さまざまな解釈がなされている分野でもあるため、まずは大枠でなにが自己管理に該当するのかを知っておく必要があります。

目標や夢を持つ

自己管理ができる人とできない人の大きな違いは、夢や目標を明確に抱いているか否かにあります。

目指すべき先がうやむやな状態では、モチベーションの管理が難しく、自分を律するのは容易なことではありません。逆に、目標や夢が明確であれば、その到達点から逆算して何をすればいいのか、何を我慢すればいいのかといった具体的な管理方法が見えてきます。

漠然と「自己管理をできるようになりたい」と考えているだけでは、自己管理をできるようにはなりません。

3つの重要項目

「自己管理」といっても、その言葉に明確な定めはありません。人それぞれ解釈が異なるものであるため、ここでは自己管理をする上で覚えておくべき、代表的な3つの重要項目を紹介していきます。 

健康管理 

どんな優れた頭脳や能力をもっていても、健康の管理ができていないと、最大限のパフォーマンスを発揮することはできません。たとえば、風邪をひいてしまうとそれだけで仕事の効率は落ちてしまい、本来の力を出すことはできなくなってしまいます。睡眠が足りていないと、集中力が高まりませんし、食事が偏ると肥満などが原因で病気になりやすくなることも。健康管理は自己管理を行なう上で、最も大切な項目といっても過言ではありません。

健康管理のコツは、ずばり早寝早起きを心がけ、1日3食のバランスの取れた食事をすることです。具体的には1日7〜8時間の睡眠をとり、低カロリーで栄養価の高い食事をとることがキーポイント。また、水をしっかりと飲む習慣を身につけ、適度な休息をとることも、本来の実力を発揮するためには重要です。

世の中で「一流」と言われている人のほとんどが、この健康管理には気をつかっています。病気やケガなどで第一線を退く人が少ないのも、前提として健康管理ができているから。これは、一流の人物の中に、肥満体型の人や顔色の悪い人が少ない理由でもあります。

モチベーション管理 

目標や夢を実現するためには、モチベーションを持続させることが重要です。瞬間的なものではダメで、「持続」に意味があります。3日坊主は、モチベーションが持続しない典型例。誰だって最初は高いモチベーションではじめることができますが、ほとんどの人がスタードダッシュを切ってそのまま失速してしまいます。日が経つにつれてモチベーションは下がり、何のために頑張っているのかを見失い、最悪の場合、目標達成をあきらめてしまうことにもなりかねません。

モチベーションを持続させるために大切なのは、長期目標と短期目標の2つを明確にすることです。多くの人は長期目標だけをはじめに掲げますが、大きすぎる目標であるがゆえに挫折してしまうことがあります。

コツは、長期目標を達成するための短期目標をいくつか立てること。たとえば、「1年で10kg痩せる」という長期目標を立てたのであれば、「1ヶ月で約1kg痩せる」という短期目標を立てます。その上で、短期目標を達成するために「甘いものを控えて毎日5分だけでいいからランニングする」という行動計画を立てることで、モチベーション管理はしやすくなります。

加えて、「適度なご褒美」をあげることで、モチベーションは持続しやすくなります。さきほどの例の場合だと「1ヶ月ランニングが続いたら、新しいランニングシューズを買う」など。仕事関連の目標を立てたのであれば万年筆やノート、革靴やビジネスバッグなど。できるだけ目標と関連したご褒美をあげるのが、モチベーションUPのコツです。

時間管理 

1日24時間・1年365日。すべての人に平等に与えられた「時間」をどのようにコントロールするかによって、目標達成の可能性は大きく変わってきます。時間管理には大きく分けて2つの種類があり、1つが「時間を守る」ということ。そしてもう1つが「無駄な時間を削る」ということです。

一流と言われる多くの人に共通するのが、「時間に厳しい」ということです。約束の時間を守るのは当然ですが、一流の人たちは、自らが習慣にしている時間も必ず守ります。就寝時間や起床時間はもちろん、出社する時間や外部との接触を遮断して集中できる時間を意識的につくるなど、自分との約束を徹底的に守りぬくことで、最大のパフォーマンスを発揮できるようにしています。

そして、「無駄な時間を削る」ということは、実は時間を守ること以上に価値があります。無駄な時間を1時間削ることは、ほかのことができる時間を1時間を増やすということ。多くの人は、この本質に気がついておらず、無駄な時間を毎日繰り返すことで、膨大な時間と目標や夢に近づくためのチャンスを垂れ流してしまっています。

無駄な時間を削るために必要なのは、一つひとつの行動に対して「それをやる必要があるのか」を問い、必要であれば「どうすればもっと効率よくできるか」を考えることです。自分でやる必要がないのであれば、それは早めに切り捨てるべき。多少のお金がかかるものであっても、本来自分でやってエネルギーを消費するはずだった1時間をお金で買えたと思えば、安いものです。

自分でやる必要があるのであれば、自分にとって最も効率の良い方法を考えましょう。他人の方法論に頼るのもいいですが、考え方や性格は人それぞれ。自分に一番合う効率的なやり方で実行するのが一番です。一流の人たちに、「普通の人とは違う」と言われる人が多いのは、自分に最も合う“自己流”をもっているからです。

3.自己管理が人生に及ぼすメリット

自己管理ができるようになると、仕事やプライベートをはじめ、さまざまな場面で良いことが起こりはじめます。ここでは、自己管理にはどんなメリットがあるのかを具体例を交えて説明していきます。 

目標や夢が実現する

自己管理は本来、目標や夢を実現するために行なうものです。そのため、自己管理ができるようになると、当然ですが、目指していた目標や夢が実現する可能性が高くなります。掲げるビジョンの大小は関係ありません。企業の経営者やトップアスリートの例を出してきましたが、これはあなたのプライベートや仕事においても活用できるものです。

たとえば、会社で1つ上のポジションに昇格したいのであれば、その目標から逆算して日々の行動計画を立て、「健康管理」「モチベーション管理」「時間管理」の3項目を意識しながら地道に実施していきます。自己管理を徹底できている人は、最大限のパフォーマンスを発揮できるのはもちろん、「あの人はできる人だ」と周囲の人からも信頼されるようになります。

そして、昇格というのはほとんどの場合「管理」をする立場へのステップアップを意味します。自己管理ができている上、周囲から信頼されている状況は、昇格を決める上司にとっても安心して任せられる要因になるでしょう。

その他にも、「資格を取る」ということも、自己管理ができればさほど難しい話ではありません。無駄な時間を削減して、空いた時間で計画的に勉強を進める。「資格が取れたら◯◯」というご褒美を用意してモチベーション管理をするのも良いでしょう。

小さい目標から、大きな夢や野望まで。強く望んだ未来を実現するのは、運やセンスではなく、「自己管理」という日々の努力の積み重ねです。

小さな幸せが増えて心が豊かになる

自己管理ができると、幸せを感じる瞬間が増えるというメリットもあります。それは夢が叶う、といった大きなものではなく、習慣化された中で生まれる小さな喜びや幸せです。

自己管理ができるようになると、必然的に早寝早起きのサイクルになります。管理ができていない頃は、遅刻ギリギリの時間に起きて朝食を食べずに出勤…、という日々だったのが、朝という時間を有意義に使えるようになります。

ひと通りの準備が完了してもまだ7時半。早く会社へ行って仕事を進めてもいいし、ほんのすこしだけ読書をしてもいい。そんな風に「選択肢」が生まれる幸せを感じることができるようになります。その時に感じる「まだこんな時間か」という幸福感も、時間管理を徹底できているからこそ得られるものです。

また、体調不良や睡眠不足になることがないため、どんな時でも100%の状態でいられるようになります。仕事ははかどりますし、基本的にポジティブな考え方になるので、すべてのことが良い方向に動き出します。すると、仕事が楽しくなります。仕事は1日の約1/3の時間を費やすもの。仕事が楽しくなれば、自然と人生そのものが楽しくなり、あなたの心は豊かになっていきます。

4.自己管理能力を向上させる4つのテクニック

「自己管理の大切さは理解できるけど、実際にどうすれば自己管理ができるようになるのかがわからない」という方もいるのではないでしょうか。そんな方のために、ここでは自己管理の能力を向上させるために実践すべき4つのテクニックをご紹介します。

目標を言語化する

目標を言語化できなければ、進むべきベクトルが大雑把なものになってしまいます。自分がどこに向かって進んでいるのかがわからなくなってしまうため、モチベーションは持続しなくなってしまいます。

逆に、言語化することで、その目標は羅針盤の役割を担います。自己管理がおろそかになりそうな時でも、目標を反芻することでモチベーションを保ち、目標達成に近づくための努力を続けることができるようになります。

目標を宣言する 

言語化した目標や夢は、紙に書いて見えるところに貼ることをオススメします。自らで立てた目標を毎日自分の目で視覚情報としてインプットすることは、「目標を達成するために自己管理をしている」という本質を忘れないようにするために重要です。

また、紙に書く以外にも、友人や家族に対して口に出して言ったり、SNS上で宣言をしたりするなど、人前で宣言するのも効果的です。これにより周囲の協力を得られたり、良い意味で自分を追い込むことのプレッシャーが得られたりするなど、モチベーション管理には特にプラスの効果があります。

人気アニメ『ONE PIECE』の「海賊王に!!! おれはなるっ!!!」という、主人公・ルフィの口ぐせは良い例です。明確な目標があるから、強い敵であっても通過点だと思って戦いを挑めるし、戦いに勝つことに本気になれる。一度負けても諦めることなく、勝つための努力を継続できます。

行動計画を立てる

目標を立てるのと同時に、具体的な計画を立てることも重要です。やってしまいがちなのが、具体的な行動計画を決めずに、大きな目標だけを掲げてしまうこと。目標の達成難易度にもよりますが、長期目標・短期目標と区切り、それぞれの目標を達成するための行動計画を立てることが、成功をつかむ鍵です。

そして、立てた計画を実行できているか必ず記録しましょう。継続することは、自信につながります。小さな成功体験の積み重ねが、自分を律することへの原動力となり、自己管理の実現ひいては目標達成へとつながっていきます。

面倒なことから取りかかる

面倒なことや苦手なことがあると、モチベーションは自然と低下してしまい、後手後手にまわってしまいがちです。しかしそんな時こそ、グッと歯を食いしばって、面倒なことから取りかかるようにしましょう。

ネガティブなイメージのあることを優先的に片付けてしまうことで、精神的余裕と時間的余裕が生まれます。面倒なことを先にやってしまうのはモチベーション管理だけでなく、時間管理においても大変効果があります。

5.おすすめの本

世の中には、自己管理に関するたくさんの本が出回っています。なかでも、スラっと読めてすぐに実践できるノウハウがつまった4冊をここではご紹介します。 

成功と幸せのための4つのエネルギー管理術|著・ジム レーヤー/トニー シュワルツ

スポーツ心理学の権威である著者が、ビジネスでの成功と幸せのために新たに開発・実践し、一流企業で実績をあげた「生き方を変える」画期的トレーニングシステムを紹介した一冊。

優れたパフォーマンスを発揮するために、「身体」「情動」「頭脳」「精神」4つのエネルギーを管理することが重要である、と独自の成功理論が記されています。書き込み式プランシート付きなので、自己管理に自信のない人にもオススメ。

いま やろうと思ってたのに…|著・リタ・エメット

  • 些細なことを先にやって大切なことを後回しにしてしまう…
  • 何でもやりたがりすぎてどれにも手を付けられない…

など、いろんなパターンの「グズ」をタイプ別に紹介し、それぞれへの対処法を解説しています。

面倒なことを後回しにしてしまいがちな方にオススメ。劇団ひとり氏も推薦の一冊。モチベーション管理・時間管理の能力向上に一役買います。

美しい人はみな、自己管理ができている|著・上野 啓樹

著者はダイエットアカデミー代表。ミス・ユニバース・ジャパンも実践しているカラダとココロがキレイになる習慣を紹介しています。

「早寝早起き」「リバウンドしないダイエット」「無駄なことに時間を費やさない」など、プライベートでの習慣を変えたい人にオススメしたい一冊です。

心を整える|著・長谷部 誠

サッカー日本代表のキャプテンとして、チームを牽引した長谷部選手が実践するメンタル術が紹介されています。

「心は鍛えるものではなく、整えるものだ」という印象的なフレーズを軸に、毎日の行動・体調管理・整理整頓・人付き合い・睡眠等のノウハウが『いかに心を整え、平常心を保つか?』という観点に集約して語られた一冊。「1日30分、意識して心を鎮める時間を作る」など、すぐに実践できる自己管理のノウハウもつまっています。

6.まとめ

自己管理に関する説明と同時に、「目標」や「夢」を明確にすることの大切さをお伝えしました。

この記事をご覧になっている方の多くは、すでに目標や夢をお持ちだと思いますが、長期目標だけを設定してしまっていないか・具体的な行動計画を立てているか、ということをチェックしてみてください。

その上で「健康管理」「モチベーション管理」「時間管理」の3つを徹底することをオススメします。あなたの目標や夢が実現することを願っています。

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