著名な経営者やアスリートが実践しているということで知られているマインドセットという考え方について、あなたはその方法や効果をお調べかもしれません。

ビジネスパーソンを中心に、マインドセットの重要性が脚光を浴びるようになっていますが、ここではマインドセットとは何かということを簡単に説明し、そして自分の生活に取り入れるための方法を紹介していきます。

マインドセットは幅広い意味を持った言葉で、使われ方によってそのニュアンスが変わりますが、この記事では「マインドを新たにセットする(考え方そのものを変える)」ことの重要性や、そのやり方を取り上げていきます。

人生を変える力があるとも言われるマインドセット。それを身に付けることで、目標を達成したり、望みの未来を掴んでいきましょう。

目次




1.マインドセットの正しい定義と広義

グロービズMBA用語集によると、マインドセットは以下のように定義されています。

経験、教育、先入観などから形成される思考様式、心理状態。暗黙の了解事項、思い込み(パラダイム)、価値観、信念などがこれに含まれる。マインドセットという言い方は、人の意識や心理状態は一面的なとらえ方はできず、多面的に見てセットしたものがマインドの全体像を表しているということから来ている。
引用:グロービズMBA用語集

思考様式は、考え方そのもの、考え方の癖、ともいえます。 企業組織においても個人においても使われる用語ですが、実際の現場では「マインドを新たにセットする(考え方そのものを変えましょう)」という意味合いで使用されているケースも多いようです。 

この記事では、新たなポジティブマインドセットをして、夢や目標を達成する意味合いとしてマインドセットという言葉を使っていきます。

2.ポジティブなマインドセットの効果

人は、マインドセットを変えることで、自分のポテンシャルを高めることができ、それにより、多くの恩恵を得ることができます。

何事をするにも、無理とは思わずに、出来ると思う心構え、意識、自分の考え方、覚悟などのマインドが大切です。

ここでは、マインドセットをすることによって運命が切り拓かれるということが分かる例を紹介しましょう。

2-1.サッカー本田圭祐選手の「夢ノート」

本田選手は小学校6年生以来、サッカーの技術を向上させ夢を叶えるために、毎日ノートに日記をつけているそうです。

それは親戚の東京五輪カヌー代表選手・本田大三郎氏から「スポーツ選手は毎日ノートを取ればうまくなる」と教えられたから。

この教えを忠実に守り、夢を追い続けた彼は、小学校の卒業アルバムに記した世界一のサッカー選手、ワールドカップ出場、セリエAで10番をつける、などをことごとく実現してみせました。

夢を叶えるマインドセットとして、日本でもっとも有名なエピソードの1つです。

2-2.アフリカで靴をセールスする話

靴を販売する会社の営業マン2人がアフリカへ現地調査に向かい、靴を履かずに裸足で生活する人々を目のあたりにしました。

それを見た1人の営業マンは「誰も靴を履いていないので、売れる見込みはありません」と報告、

もう1人の営業マンは「誰も靴を履いていないので、無限大の販売見込みがあります」と報告しました。

報告の方向性からも分かるようにこの2人は真逆のマインドセットの持ち主で、当件での成果に差が生まれるといえるでしょう。

この例では、行動する前から諦めてしまう癖がついている人と、プラス思考が出来る人の間に、大きな違いが生まれるということが学べます。

3.マインドセットの重要性を伝える世界の研究者

3-1.マインドセットの提唱者 スタンフォード大学心理学教授キャロル・S・ドゥエックの主張

キャロル・S・ドゥエック教授は、マインドセットという概念を提唱した第一人者。

教授は研究において、子どもの成績や学習意欲・行動は、「努力しても変わらない」(Fixed Mindset:こちこちマインドセット)という考えの持ち主か、「努力次第で伸びる」(Growth Mindset:しなやかマインドセット)という考えの持ち主かによって、変わることが分かったとしています。

マインドセットによってあらゆる能力に差異が現れ、ひいては人生の幸不幸に影響するというのです。またマインドセットを変えるのは簡単ではないけれど、それは可能であるとしています。

3-2.脳科学研究者 オックスフォード大学感情神経科学センター教授エレーヌ・フォックスの主張

エレーヌ・フォックス教授は脳科学研究から、楽観脳と悲観脳の持ち主がいると定義。

楽観脳の持ち主は、リスクに果敢に挑戦することを楽しく感じる。悲観脳の持ち主は、些細なことにも恐怖を感じて尻込みしてしまう、としています。

そしてこれは遺伝によるものではありますが、大人になってからも変化しうるものだそう。

前向きな環境を経験することにより、逆境にへこたれないマインドセットになるとしています。

3-3.マインドセットと根性論の違い

「やれば出来る」というマインドセットは、ともすれば根性論と混同されがちです。しかし、両者は根本的に異なるものだといえます。

マインドセットとは、課題や解決の方向性などあらゆる観点を織り込んだ有機的な考えです。それに対して、根性論とは気合があれば何でもできるという、「気合」のみに頼った考えです。

マインドセットは、気合だけではなく、前向きさやチャレンジ精神等を含んだ考え方です。

4.マインドセットの正しい変え方

マインドセットを変える、すなわち固定観念を再構築することは、簡単ではありません。

それこそ子供のころからついた習慣という基礎部分を全面的に改修しようというのですから、強い意志を持って臨まなければなりません。

とはいえそれは決して難しいことではなく、ポイントをおさえることで、効果的に改善していくことができます。

ステップ1:目標や望む姿を言語化する

イメージだけでは漠然としていますが、言葉にすることで明確なビジョンとなります。

ステップ2:目標に向かって日記をつける

毎日、記すことで目標を意識し続けることができます。

ステップ3:やると決めたことを実行する

頭に思い浮かべるのと、実際に行動するのとでは大違い。一歩目を踏み出す習慣をつけましょう。

ステップ4:後からではなく、今すぐにやる

頭の中で考えをめぐらすよりも、思い立ったら即行動してみましょう。

ステップ5:思考や行動の癖を指摘してもらう

改善したい思考や行動の癖が出ていることを他人に指摘してもらいましょう。 自分が直したいと思う習慣は無意識に行ってしまうことが多いですから、家族や仲間に指摘してもらうことで気付くことができます

ステップ6:自分を向上させることに関心を寄せる

マインドセットを変えることにより、自分の才能を伸ばせるということをポジティブに考えましょう。

ステップ7:自分の敵は、つねに自分

やればできる、を阻むのはいつも自分です。ネガティブなリミッターを外しましょう。

ステップ8:苦労を覚悟でチャレンジする

チャレンジという努力の先に成功があります。その努力を誉めながら成長していく自分を楽しみましょう。

5.マインドセットを変える際の注意点

新たなマインドセットをする場合、必ず徐々に変えていきましょう。

なぜなら、今の状態を変えるということは、とても大きなストレスを伴うので、自己嫌悪に陥ってしまう可能性があるからです。

マインドセットを再構築するということは、過去からいままでの自分と向き合い、そして自分の歴史や経験、考え方を否定していくことになります。

マインドセットをしている最中に思い通りにならなかったり、失敗してしまったとしても、そのポジティブなトライをした自分を褒めてゆっくりトライし直しましょう。

6.オススメの本

マインドセットは幅広く用いられる言葉ですが、ここでは自分の考え方を変える方法について具体例が示されている書籍をご紹介します。

「やればできる!」の研究―能力を開花させるマインドセットの力 著者:キャロル S.ドゥエック

パーソナリティ、社会心理学、発達心理学である著者が、問題がむずかしいとやりたがらない子と、むずかしい問題ほど目を輝かせる子の違いがどこから来るのかについて、20年におよぶ調査からまとめた書籍です。マインドセットの重要性がわかり、そしてここで提示されている子供たちに適切なマインドセットを培う方法は、大人たちにも通用するものだといえます。

マインドセット ものを考える力 著者::ジョン・ネスビッツ

マインドセットにより未来を予測するという、ビジネスパーソンにとって役立つ知恵がまとめられています。11のマインドセットが提示されており、自分の思考方法と照らし合わせて読むと、参考になりそうです。

幸福優位7つの法則 著者:ロバート・マウラー

臨床心理士の著者が、医学的リサーチや豊富な臨床例から導かれた、習慣作りのコツを紹介しています。脳の仕組みを知り、目標への小さな一歩を実践することで、生き方がガラリと変わると説かれています。脳科学など難しいテーマが扱われていますが、やさしくまとめられています。

7.まとめ

マインドを新たにセットする(考え方そのものを変える)ことで、自分のポテンシャルを高め、ひいては人生を変える力を持っています。

幼少期から培われた思考習慣は、簡単には再構築できませんが、変えることは可能であると言われています。

マインドセットの変え方を実践すれば、凝り固まったマインドセットを変え、より大きな夢を叶えていくことが出来るでしょう。