理想的な睡眠時間がどれくらいなのか分かれば、健康的な生活が送れそう、仕事や勉強を効率的に進められそうだと考えていませんか?
あなたにとって理想な睡眠時間というものは、睡眠のメカニズムを知ることで分かります。 そもそも睡眠とは、浅い眠りと深い眠りを繰り返しながら心身の疲れを回復するもので、このうち浅い眠りを迎えているときが目覚めるのに適していて、心身回復中の深い眠りでは上手く目覚められません。 ようするに浅い眠りのときに起床するのが理想的であるといえるわけで、その時間というのはあなたの「睡眠周期」がカギを握ります。ここではその睡眠周期を調べる方法を見ていきます。
また、ぐっすり眠って疲れをとるという、良質な睡眠をとるための方法も取り上げます。
目次
1.どれだけ寝るのが理想的?
2.あなたの睡眠周期を調べる方法
3.一番大切なこと!睡眠は「質」が重要
4.枕やベッドなどの寝具も睡眠の質に影響
5. 「睡眠のゴールデンタイム」に寝るのが理想という説はまやかし?
6.オススメの本
7.まとめ
目次
1.どれだけ寝るのが理想的?
睡眠とは、脳と身体を休息させることで疲労回復、ストレス除去をし、目覚めた時にはそれらが正常に機能するよう修復・調整しようとするものです。では、どれだけの時間眠れば、心身がともにリフレッシュできるのでしょうか。
1-1.睡眠のメカニズム
人には睡眠周期というものがあり、浅く眠っている状態(レム睡眠)と深く眠っている状態(ノンレム睡眠)を交互に繰り返しています。
両者を1セットとした周期はおよそ90分で、これを3~5回繰り返すというのが統計から一般的だとされる睡眠です。 特徴としては、最初の3時間(2サイクル)で一気に深く眠り、その後のサイクルは徐々に浅くなっていき覚醒(起床)を迎えるようになっています。その最初の3時間は脳が休まるもっとも大切な時間帯であり、最低でもこれだけ眠らなければ心身がきちんと回復しないといえます。
レム睡眠時はすっきりと目覚めやすく、ノンレム睡眠時はなかなか起きられません。目覚めやすい時間というのは、約90分周期(個人差あり)で訪れます。
文典:健康専科
1-2.理想的な睡眠時間は、睡眠周期の倍数
睡眠周期が90分の人の場合、3サイクル以降の4時間半(270分)・6時間(360分)・7時間半(450分)という睡眠時間をとると、ちょうどレム睡眠時を迎えたときに起きられるようになり、すっきりとした目覚めを得られやすいはずです。
ようするに、睡眠周期を3~5倍した時間が理想の睡眠時間となるわけですが、睡眠周期は人によって70分~110分までの幅があるということに注意が必要です。
あなたにとって最適であり、理想的な睡眠時間を知るためには、その睡眠周期を調べる必要があるのです。
睡眠周期別/目覚めやすい睡眠時間
2.あなたの睡眠周期を調べる方法
あなたが眠っている間であっても、睡眠周期を調べる方法があります。それはスマホのアプリや専用の時計を用いる方法です。
仕組みとしては、レム睡眠時は身体が休息していながらも脳が覚醒に近い状態にあり、また自律神経の活動が不安定になるため、血圧や心拍、呼吸の変化が不規則になります。
そのため、寝返りをうったり、呼吸やいびきが荒くなったりするなどの生理的な変化が生まれるので、そうした音を感知・記録して、睡眠周期を調べようというものです。
2-1.スマホアプリ
アプリを起動してベッドに置いたままで寝ると、レム睡眠時に発生する音を感知し、睡眠周期を記録します。その記録から、自分の睡眠パターンが明らかになるのです。
レム睡眠・浅い眠りに起きられるアラーム
2-2.オムロン「ねむり時間計」
ベッドに置いて一緒に寝ることで、睡眠の状況を記録します。スマートフォンアプリ「ねむり体内時計」と連携することで、測定した記録を分かりやすいグラフでチェックすることができます。
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3.一番大切なこと!睡眠は「質」が重要
あなたの睡眠周期と、その倍数から理想的な睡眠時間まで分かったとしても、それだけで満足な睡眠が得られるわけではありません。
例えば終電までお酒を飲んで帰ってきた日に、自分に合った睡眠時間をとったとしても、目覚めにくく身体に疲れも残っているはずです。
なぜそうなるかというと、深いノンレム睡眠を得られておらず、睡眠の質が悪いからです。
3-1.良い睡眠とは深いノンレム睡眠を得られること
睡眠の質とは、深いノンレム睡眠が得られているかどうかで決まります。
前述の通り、入眠から3時間のあいだに深い眠りに入るのですが、ここでの眠りが浅いと、しっかりと寝られたという感覚が得られない(=睡眠の質が悪い)のです。
3-2.質の良い睡眠を得るための知恵
睡眠するのに適した状態は、心身がリラックスしているときだといえます。そのときは自律神経の副交感神経が優位になり、身体全体が休息モードになっています。
逆に、脳に刺激があったり、内臓の消化機能が働いていたり、交感神経が興奮していたりすると、深い眠りにつけません。
良質な睡眠を得るために出来ること
- 食事や飲酒は3時間前までに済ませる
- 入浴は1時間前までに温めのお風呂で
- 適度に身体が温まる飲み物をとる
- ストレッチで血流を良くする
- 夕方過ぎからのカフェイン摂取を控える
- 夜は照明を控えめにして脳への刺激を抑える
- スマホやパソコンは2時間前までに済ませる
4.枕やベッドなどの寝具も睡眠の質に影響
ベッド、敷布団、掛布団、枕といった寝具は、眠りの質に大きな影響を与える存在です。それぞれの選び方を簡単に説明します。
枕
頭の温度が上昇しすぎないような、通気性のあるものが適しています。高さについては個人差がありますが、理想としては首すじのすき間が自然に埋まるものが良いとされます。
文典:東京西川 まくらの選び方
敷布団、マットレス
柔らかすぎや硬すぎると、腰や背中全体に負担がかかって身体が休まらず、また寝返りしにくくなるため血液やリンパ液の循環が滞ってしまい、疲労回復が十分になされません。
適度に寝返りがうてるくらいの弾力性が適しています。
夏は通気性と吸湿性が高いもの、冬は保温性のあるものが良いです。
掛布団
軽くて柔らかく、保湿性と放湿性のバランスが良く、寝返りをうっても身体にまとわりついて離れないドレープ性があるものが良いです。敷布団と同様に、夏は通気性と吸湿性が高いもの、冬は保湿性のあるものが良いです。
5. 「睡眠のゴールデンタイム」に寝るのが理想という説はまやかし?
夜22時から2時までの4時間の間に眠ることが理想だという「睡眠のゴールデンタイム」説を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
人類の遺伝子には、真っ暗になった同時間帯に眠ろうとする行動パターンが刻まれており、それに従うことで良質な睡眠が得られるという趣旨です。しかし、文明の変化により夜は暗くなくなり、またそうした時間にゆっくり床につける生活リズムの人もそう多くないという実情になっています。
最近の研究ではむしろ、入眠する時間帯を気にするよりも、入眠後3~4時間でしっかり熟睡をとるほうが重要だという考えの方が有力になっています。
前述の通り、入眠後3時間はノンレム睡眠による深い眠りが訪れるため、そこでしっかりと休息することができれば、心身の疲れも回復するからです。
6.オススメの本
ここで紹介した理想的な睡眠時間は、科学的な研究から導き出されたものです。以下の書籍は、睡眠のメカニズムや最先端の研究が学べます。
『快適睡眠のすすめ』 著者:堀忠雄
睡眠に関する学術的な内容から、よく眠るための実践的なテクニックまで、硬軟織り交ぜた構成になっています。この一冊で快適な睡眠を得るためのコツと、その根拠を理解することができます。
『睡眠の科学―なぜ眠るのかなぜ目覚めるのか』 著者:櫻井武
睡眠についての最先端の研究がまとめられています。より良い睡眠をとるためのハウツー本というわけではなく、睡眠を科学的に理解できる学術書という側面が色濃い構成となっています。
『睡眠のはなし – 快眠のためのヒント』 著者:内山真
睡眠のメカニズムにはじまり、健康や病気との関係まで幅広い解説により、人間にとっての睡眠がどんな意味を持つのかについて分かりやすく解説されています。
7.まとめ
理想の睡眠時間は、個人の持つ睡眠周期によって決まります。その睡眠周期の3~5サイクルが、心身が回復しスッキリと目覚められるタイミングになるのです。
それを調べるためには、スマホのアプリや専用の時計が便利です。 ちなみに、睡眠はただ眠れば良いというわけではなく、ぐっすりと深く眠ることが重要です。
そうした質の良い睡眠を得るためには、寝る前に心身をリラックスさせると良いでしょう。
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