上手い話し方さえ身につけることが、あのプレゼンも、セールスも、人間関係も上手くいくかもしれないのに、自分にはその力がない。

もしかしたら、あなたはこのように考えているかもしれませんね。

確かに、話すことが得意な人はいます。

しかし、産まれながらのセンスだけではなく、そのノウハウを知り練習をすれば誰でも『伝わる話し方』を身につけることは可能です。

自分の話している言葉を、ぜひ録音して聞いてみてください。

  • トーン
  • スピード
  • 感情の乗せ方

この人上手いな、という方と比べてみましょう。

まずは自分がどのように話しているかを知ることが一番大切です。

それを知った上で、今回の記事では『話し方』のコツについて学んでいきましょう。

目次




1:話し上手な人の共通点

話し上手というのは、

  • 相手を聞く姿勢に導ける(心を開いてもらう)
  • 相手の考えを汲みとれている(相手の状況を理解する)
  • シチュエーションに応じた伝え方ができる(伝える)

からできており、これらを見ると『話す』だけでなく『聞く』も含めて『話し上手』ということが分かると思います。

それでは、もう少し具体的に話し上手と呼ばれる人の共通点を見ていきましょう。

話上手な人は聞き上手

話し上手な人の共通点として挙げられるのが、聞き上手であることです。

自分の伝えたいことだけを話すのではなく、相手の意見にも耳を傾けています。

そのため、最適なタイミングで相づちを打って、聞いたことに対して意見を述べることができます。

また話している相手を気遣いながら、上手に会話を盛り上げているケースも目にします。

声のトーンやスピードが丁度良い

話し上手と言われる人の発言を聞いていると、声に抑揚があることに気が付きます。

重要な場面では声の大きさを上げ、悲しい場面ではトーンを落とすなど工夫が見られます。常に声が小さい、いつも大きな声でしゃべるということがありません。

また言葉の語尾まできちんと発生していることもポイントです。

また話をするスピードも上手に調整していることが分かります。重要な部分ではスピードを落として、ユーモアを織り交ぜるときには少しスピードを上げる。

声の大きさやトーン、スピードが調整しながら話をしていると言えます。

笑顔と笑いで柔らかい空気が作られている

深刻な話の場合を除いて、基本的には笑顔を絶やしません。

話の内容だけではなく、表情から伝わる感情があることを理解しています。聞いている人に安心感を与えられるのも、笑顔で話すことの効果といえます。

話の中にユーモアを交えて、聞き手の笑いを誘うこともよくあります。同時に、人の発言に対しても必要な場面では笑いで応え、場の雰囲気を盛り上げています。

笑顔と笑いによって、聞き手の心を掴んでいるため、話を聞こうという姿勢に導けています。

聞き手の状況を理解している

話し上手の人は、聞き手の状況やシチュエーションを理解し、変化を察しながら話しています。

話を聞いている人がどんな表情をしているか、目の動きはどうか、退屈そうにしていないか、嫌悪感を示していないか、楽しんでいるか…など様々な変化を把握しながら、状況に合わせた内容や話し方をしています。

声になっていない声を聞くことができています。

論理的な話と情緒的な話を上手に配分している

話し上手な人は論理と感情の意見を織り交ぜて会話をします。

論理だけでは人は動かず、感情だけでも相手が納得感を得られないことを知っているので、実行に移しています。

時間配分が考えられている

話し上手な人は、限られた時間の中で相手に伝える努力を忘れません。

結婚式でのスピーチ、会社での朝礼コメント、セミナー登壇、会議での発言など、日常のおしゃべりとは異なり、話をする時間が決まっているケースでは、きちんと予定時間内に収めます。

いつまでも終わりの見えない話は集中力は低下し、途中まで良くても終わりが良くないことを理解しています。

話し方が上手い人は、相手の感情に気を配り、適度なタイミングで話を切り上げています。

話し相手の目を自然体で見れる

相手の顔を見ながら話すことは基本ですが、自然体で目を見ることができると意思の疎通ができます。

目には意思や感情が宿るので、真剣な話の時には真剣な意思を、和みたいときには柔らかな意思を伝えることができます。

大切なことは自然体ということなので、無理して見たりしては逆効果です。

相手の言葉を繰り返して確認をする

いわゆるオウム返しのような、相手の発言を確認するための作業がされています。

同じことをそっくり繰り返すだけですが、相手に対して話を聞いているという意思を伝えることができます。

完全に同じ繰り返しだけではなく、ときにはアレンジしたり、繰り返し部分を利用して質問に変えるなど、工夫を加えて話に広がりを生んでいます。

2:『言語、聴覚、視覚 』全てそろって”伝わる”話し方ができる

同じ内容を伝えているのに、話が上手い人だと聞き手が頷き、笑い、涙します。

これは、その人が発信している情報は、言葉だけではないことを示しています。

メラビアンの法則から見るスピーチにおける発声・仕草の重要性

メラビアンの法則は、アメリカの心理学者であるアルバート・メラビアンによって提唱された、メッセージが発せられたときの人の受け取り方に関する法則のことです。
「3Vの法則」「7-38-55ルール」とも呼ばれます。

  • 7% が「Verbal」=言語情報:言葉そのものの意味・話の内容 など
  • 38% が「Vocal」=聴覚情報:声のトーン・速さ・大きさ・口調 など
  • 55% が「Visual」=視覚情報:見た目・表情・視線・しぐさ・ジェスチャー など

それぞれの割合は、メッセージを受ける際に重視しているポイントとされています。つまり、言葉そのものや話の内容よりも、見た目や仕草などの視覚情報を重視しているということです。

※この説には条件があり、「好意・反感などの態度や感情のコミュニケーション」において「メッセージの送り手がどちらとも取れるメッセージを送った」場合、「メッセージの受け手が声の調子や身体言語といったものを重視する」という法則です。

決して「話の内容」よりも「見た目や表情、仕草」が大事というわけではありません。

ここでお伝えしたいことは、ある条件によっては内容以上に口調や声質、仕草が重視されるケースがあることです。

話の内容が良ければ、話し方や仕草が悪くてもいいということではありませんのでご注意ください。

3:声の質をコントロールすると伝わり方が変わる

メラビアンの法則を例に出したように、ビジネスシーンにおいて話し方は重要です。話す内容に意味があって、話し方や言葉選びが適切であることは言うまでもありません。

その上で、最終的なアウトプットである声の質にまで気を配ると、発言内容により力が入る、言霊が宿ることになります。

声のトーンや音量から得られる情報はとても大きいので、マスターした際には相手の対応の変化に驚くと思います。

ぜひマスターしてください。

声のグー・チョキ・パーを使い分ける

声の種類には3種類あると言われ、それぞれを使い分ける「戦略発声法」というものが、欧米のビジネスシーンで利用されています。

声のじゃんけん(グー・チョキ・パー)と呼ばれ、じゃんけんと同じように相手の声質によって使い分けることで、交渉を有利に進めることができるという考えです。

  1. グーは「防衛的なくぐもった閉じた声」のことで、相手を拒否しているときの声です。
  2. その相手の心を開かせたければ、パーの「開いた明るい声」が有効となります。
  3. 開きっぱなしのパーの声の人を黙らせるのには、チョキの「尖った攻撃的な声」が有効です。

少し本質とはずれますが、意識するだけで、いつもの自分から変わることができます。

※ちなみに、パー=開いた声のことを開口音、グー=くぐもった声のことを閉鎖音と呼びます。

心地よい声は丹田から出す

欧米の発声練習を受けている方は、不快な部分を技術で隠す「カヴァードヴォイス」という発声を使っています。

カヴァードヴォイスとは、声を丸くし、口先だけでなく頭や胸から共鳴させた声質のことで、ニュースキャスターの古舘伊知郎さんの声がそれにあたります。

カヴァードヴォイスを出すには、丹田から声を出す訓練をすることです。

丹田とはヘソから指三本分ほど下にある部分で、丹田から声を出す方法を複式発声法とも呼び、無理なく美しい発声・声量を操るための手法です。

一流を目指したい方は、複式発声法を学びましょう。

SMAPの声でイメージする、開口音閉鎖音カヴァードヴォイス

  • 中居正広さんの発声は開口音
  • 木村拓哉さんの発声は閉鎖音
  • 草なぎ剛さんの発声がカヴァードヴォイス

イメージできますか?

草なぎさんの温和で丸みのある声質がカヴァードヴォイスです。

4:話し方と一緒に意識する話す際の目線

話の内容や声のトーンと並んで意識したいのは、話している際の目線や仕草です。

どんなに良い内容を自信たっぷりで、心地よい声質で話したとしても、目が虚ろであったら、信用することができません。

あなたの話を聞いている人の人数によって、目線を変えるよう意識しましょう。

一対一で話をしている場合

まず基本は、相手の目を見ることです。

この場合、基本は話をする相手の方向を向き、相手の目を中心に、顔全体〜上半身を適度に行き来するようにしましょう。

相手の中心を見ておき、話のポイントや重要な部分では、力強く相手の目を見るようにします。

話し相手の目とその他(顔全体から上半身)を見る割合は、7:3くらいがちょうど良いとされています。

資料などがあれば、時折目を落とすのも必要ですが、適度に使ってください。あまりに長時間、資料やパソコンなどを見ながら話をするのは失礼です。

話をしている間ずっと目を見るわけではありません。商談や会議の間、ずっとあなたの目を見つめられ続けたら気持ち悪いですよね。

大勢の人を相手に話をしている場合

プレゼンテーションの場やミーティングでは、自分の発言を複数の人に聞いてもらうケースがあります。

この場合は一対一の対話とは違い、参加者全員を意識する必要があります。

一対一とは違い、目を見る相手が複数いるのであれば、少しずつ見つめる相手を変えていくことで、ずっと見つめ合うという気まずい雰囲気にはなりません。

意識したいのは、誰か一人だけを見つめるのではなく、その場の全員に対して目線を配すること。複数いる相手の全員に対して話をしている、という構図をつくりましょう。

もちろん、複数いる中で誰か一人に対して発言をする場合は、その相手を中心に語りかけてかまいません。

その間も時折、全体に目線を誘導することで、場を上手にコントロールすることができます。

聴衆・観衆を相手にする際の話し方

セミナーなどで話をする際、数十名から数百名に対して語りかける場合は、一人ひとりの目を見ることは難しくなります。

その際は会場を幾つかに分割して、各エリアに目線を動かしながら発言します。

話をしている自分との距離が近いグループに対しては、一人ひとりの目をみるのも効果的です。

物理的な距離が遠くなるごとに、目を中心とした顔全体を見ながら話してください。中には目が合う人も出てきますので、その際はしっかりと見つめ返します。

数十メートル離れていても、目が合ったことは伝わります。 全体をまんべんなく見渡しながら、目線の合った人には目で応えます。

大事なのは一部分だけでなく、集まってくれた人全員の顔を見ながら話すことです。

5:話し方と同じくらい大切な立ち振る舞い

発声とともに意識したいのが、ビジネスシーンに適した仕草や身振り手振り、立ちふるまいです。

どんなに良い内容を適切なトーンで話していても、仕草が雑であれば心に響きません。魅力的な姿で話をすれば、あなたの発言はより目的を達する可能性が高くなります。

立ち振る舞いで意識をする点

姿勢

猫背になっていませんか? きちんと背筋を伸ばして誠実さが伝わる姿勢で話をしましょう。

きちんと話を届ける相手に正対して、立っているのであれば、つま先まで見られていると意識することが大切です。

胸を張って堂々と話すことも重要ですが、ときには威張っているように見えることがあるので、シチュエーションによって加減をするといいでしょう。

手の置き場

身振りや資料を触っていない場合、手の置き場にも気を使う必要があります。

だらしなく腕を垂らしていては、やはり印象が良くありません。座っているのであれば、手を軽く組んで(右手の上に左手を重ねるイメージ)机の上に載せるなどが見栄えが良いです。

間違っても腕組みはしないでください。 立っている場合は、ポケットに手を突っ込むのは論外。こちらも軽く手を組んで、正面で静止させるのが良いです。

足の位置

座っていればあまり見えないように思えますが、ふとした拍子に目に入ってくる足の動きです。

貧乏揺すりのクセがある人は、強く意識して改善しましょう。 膝の距離が遠すぎる=足を開いて座っている人も多く見かけます。

完全に膝を付ける必要はありませんが、なるべく離さないように注意が必要です。

つま先を相手に向けて、かかとをつけておけば、必要以上に膝が開くことがなくなります。内ももに力を入れれば、更に膝が開くことを防げますので意識してみてください。

ビジネス会話は、身振りや手振りで訴求する

話し方をより魅力的に見せるのが、身振りや手振りなどのジェスチャーです。欧米では大袈裟なくらいにボディランゲージを多用しています。

日本においても、例えば選挙候補者の街頭演説などをイメージすればわかりますが、直立不動で話す人とジェスチャーを多用して熱弁する人であれば、どちらが印象に残るか一目瞭然ですね。

身振りや手振りを正しく用いることで、あなたの話し方はより魅力的になります。

手の向き・形だけで与える印象がある

訴求力を高める身振りや手振りの前に、何気なく使っている手の向きや形で、心理学的な影響を与えることがあります。

ひとつは、手のひらを聞き手に向ける(見せる)行為です。

これは相手に対して「正直さ」や「誠実さ」を印象づけると言われています。

開いた手のひらによって、「オープン」であることを伝える効果があります。

手のひらを真上に向けて話をした場合、「分からない」「迷っている」という印象をあたえると言われています。

また指をさすりながら話をすると、「不安」や「焦り」が伝わることになります。

両手の指を突き合わせて三角形をつくりながら話す人もいます。これは、「自信」や「説得」が表れているとされ、強い意志を印象づけることになります。

話し方をより魅力的にするジェスチャーの種類

話し方を魅力的にする効果的なジェスチャーは、以下のような種類があります。

引きつけるジェスチャー

両手を上下に振りながら話すことで、聞き手の目線を引きつけることができます。

また話を盛り上げる効果もあり、魅力的な話し方をする人の多くが利用しています。

手を動かす角度や速度によって、話している内容の大きさや速度などを表現することもでき、非常に実用性の高いジェスチャーです。

補足のジェスチャー

指を使って指し示すジェスチャーです。

例えば「1つ目は…」「重要なのは2つ」などのときに言葉と同じ本数の指を立てる、もしくは「ここから北に向かって」のときに北を指し示すなど、口頭説明の補足として効果を発揮します。

感情のジェスチャー

感情を表すときにも、身振りを交えることで聞き手の深層心理に訴えかけることができます。

また、状況説明や動作の表現を目的に、身体全体を動かすことでダイレクトに表現するケースもあります。

このように、聞き手の目線や耳を引きつけるため、説明を補足するため、感情を表現して深層心理に訴えかけるためなど、様々な目的で身振り・手振りが効果を発揮します。

6:話し方を学ぶ|お勧めの書籍

ここまで一般論を含めて、上手な話し方のコツを紹介してきました。話し方は、心理学を応用している部分が多く、「知っている」ことで上手に使うことができるようになるものです。

ビジネスで成功する話し方を学ぶために、各分野の書籍を紹介します。多数の関連書籍がありますので、自分に合う本、ノウハウを見つけてみましょう。

成功する人の話し方 7つの絶対法則 ビル・マクゴーワン

シリコンバレーの起業家や学生がさかんに使っている「Pitch(ピッチ)」というプレゼン手法をご存知でしょうか。予備知識を持たない相手に、限られた時間で簡潔・明確に売り込みをするビジネスの話し方の極意です。本書の原題は「ピッチパーフェクト」とあり、7つの絶対法則を紹介してくれます。プレゼンだけでなく、就職の面接、商談、会議、慶弔事など場面ごとのコツを紹介。言葉選びだけでなく、話す速度や仕草まで実践的なアドバイスが参考になるでしょう。

「しぐさ」でわかる相手の心理  関 輝夫

日本心理カウンセリングセンターの所長が著者であることからわかるように、心理カウンセリングの技法を用いた仕草について学ぶことができます。目の前にいる相手がとる仕草によって、どのような心理状態にあるか。図解付きで非常にわかり易いです。この心理を理解することで、自分の行動が相手にどんな印象を抱かせているかが分かります。111の技術によって、人間関係の達人になれると謳っている書籍です。

伝え方が9割 佐々木圭一

コピーライター、作詞家などとして幅広く活躍する著者のベストセラー。話し方の根幹には、伝えたい内容があります。この「伝え方」を学べる良書であり、入門編としてもとても理解し易い内容です。内容はデートの誘い方など、ビジネスと少し離れた部分がありますが、例えとしては分かり易く、多くの人が経験する・経験してきた内容でしょう。話し方以前の「伝え方」と伝える内容を考える訓練になり、ビジネスの場においても有効です。

いつの間にか相手の心をつかむ すごい!聞き方 片山 一行

ビジネス書籍の編集者として活躍する著者が、自らの経験により培った「人の話を聞く方法」を伝授。話し上手=聞き上手であることからも、他人の話を聞くことが重要です。本書は黙って話を聞くテクニックではなく、編集者らしく「話を聞き出す」「相手に気持よく話してもらう」ためのノウハウが分かります。心理学的な要素がありつつ、人との接し方、マネジメントをする立場の人が知っておくべきことなどが学べる良書です。

TEDトーク 世界最高のプレゼン術 ジェレミー・ドノバン

ビジネストークやスピーチなど、聞き手を魅了する話し方のノウハウが、基礎的な内容で紹介されています。特に注目したいのが、ビル・ゲイツなど著名人が披露したプレゼンテーションについて、内容の構成や伝え方など12の視点で分析していること。読むだけでプレゼン上手の気分になれる、勇気を与えてくれる書籍でもあります。すぐに使えるテクニックも紹介されていますし、読み物としても楽しめる内容でお勧めです。

7:まとめ|ビジネスで成功する人の話し方

ビジネスにおいて成功するために、どのような話し方をすれば良いか、表情や声、身振りや手振りなど、心理学的な考えも含めて紹介しました。

TED Conferenceをご存知の人は多いかと思います。様々な分野の著名人が、聴衆の前でプレゼンテーションを行なうイベントです。

TEDを見ていると、特に欧米人は人前で話すのを得意としているように感じるのですが、実は欧米人も、人前で話すのが特別得意なわけではないそうです。

主に北米では、5歳位になると「show and tell」(人前で話をしよう)と呼ばれる教育を受けます。

つまり彼らは、幼い頃から人前で話をする訓練を積んでいるということです。

話すことが苦手に感じている人も、今から訓練することによって、ビジネスで成功する、人間関係を良好にする話し方を身につけることができるようになります。

ここに記載したことを実践したり、様々なプレゼンテーションの場へ足を運んだりして、自分なりの成功する話し方を身につけていきましょう。