仕事をする上であなたが大切にしていることはなんでしょうか。

効率的に仕事を進めるためのスキル? 理解ある仲間? 専門的な知識? もちろん、それらも大切な要素です。

しかし、キャリアップしていけば行くほど、重要性が高まってくるのが「交渉術のスキル」が挙げられることでしょう。

交渉は問題解決に向けて相手との信頼関係を構築し、協働していくために必要不可欠なものです。

ビジネス上での交渉は、勝ち負けを決めるためのものではありません。交渉後にお互いの満足度を高め、Win-Winの関係を作ることができる、とても素晴らしいものです。

今回は、よりスムーズにビジネスを行なうことができる「交渉術」についてご紹介していきたいと思います。ぜひ参考にしていただき事業の発展に活かしてください。

目次




1.交渉のプロが心掛けていること・テクニック

ビジネスの世界で交渉の達人は、経営の天才でもあると言われています。世界に目を向けてみると、

  • よく条件を飲んでもらえたな
  • どうやって交渉したんだ

と思うような事例が少なくありません。その共通点として挙げられるのは、「交渉人は経営者もしくは、会社経営に大きな影響を与えるポジションの人のどちらか」ということです。

彼らが交渉で結果を出せる理由は「自分が最終的に責任を取って絶対になんとかする!」という強い意志があるからです。

もしあたなが今はそこまでのポジションでなかったとしても、どんな時にも「自分が逃げずに貫き通します」という鬼気迫る迫力を出すには、誰よりもプロジェクトの成功を考え、自分にその重みを課すことです。

要は小手先のテクニックだけでは、大きな交渉ごとの前に無力ということです。

そのことを大前提とした上で、テクニックは役に立ちます。

世界の交渉のプロは、どのようなテクニックを使って交渉を行なっているのでしょうか。ここではいくつかの実例と共に、見ていきたいと思います。

徹底的な事前準備を行なったソフトバンク・孫正義氏

ソフトバンク社長:孫正義

今年5月11日に行なわれたソフトバンクの2015年3月期の決算発表会では、売上高が前期比30%増で8.7兆円、純利益は前期比29%増で6684億円と発表。ソフトバンク本体の社名を「ソフトバンクグループ」に変更することも発表。これは、世界展開を積極化する戦略を踏まえたもの。

常にめまぐるしく飛躍を続けるソフトバンクですが、躍進の大きなきっかけとなった1つは2008年7月にApple社iPhoneの独占販売をスタートさせたのがあります。

当時、各マスメディアでは、ドコモとソフトバンクのどちらがiPhoneの販売権を獲得するか、毎日のように取り沙汰されていました。しかし、その多くが「ドコモが本命でソフトバンクは当て馬にすぎない」という見解。

それに反して、ソフトバンクがiPhoneの独占販売権を得ることができたのは、孫正義が直接ジョブズと長期間にわたって関係を構築してきたからと言われています。

2005年当時の背景

日本の携帯市場は「着うた」の爆発的な人気を受けて、音楽携帯が盛り上がりを見せていました。とりわけauは、音楽配信サービス“LISMO”を開始したり、ソニー・エリクソン社製の「ウォークマンケータイw42s」を販売したり、勢いに乗っていた時期です。その対抗馬として孫正義は、Apple社のiPodを拡張した音楽携帯を想定していたそう。そして、その音楽携帯をジョブズに見てもらおうとアポイントを取りました。そこで、ジョブズからiPhoneの計画を聞いたそうです。

それを皮切りに、iPhoneの独占販売権を獲得すべく、孫正義は事前準備をスタートさせました。

まず、自社の携帯を買うとiPodがついてくるというセットキャンペーンを実施。日本国内でiPodの取扱高を一気に高めました。

次に、ソフトバンクモバイルのロゴを銀色の線2本という現在のデザインに変更。この銀色は、iPodのカラーリングに極めて近いものだったとか。同時に、携帯電話の販売店舗も改装します。店舗デザインもApple Storeを思わせる、白を基調としたデザインです。

このようにApple社との協業や受け入れ態勢づくりと並行して、孫正義はジョブズのもとを何度も訪れ、交渉を進めていきました。

孫正義の未来を想定した徹底的な事前準備、経営に対するコミットメント・戦略・ビジネスモデルなどを駆使した交渉術が、今のソフトバンクを作り上げました。

巧みな選択肢で相手の背中を押したスティーブ・ジョブズ氏

交渉術のプロとして世界中から人気のあるスティーブ・ジョブズ。

2012年1月22日。Apple社のiPad発表日の5日前のことです。iPadの目玉として、Apple社は様々なコンテンツを用意していました。その1つが、iTunes Storeで電子書籍を販売すること。しかし、大手出版社のハーパーコリンズ社とは、まだ契約を結べていませんでした。

そこで、iTunes 兼 App Storeの責任者がハーパーコリンズ社と親会社を訪問。直接交渉に行きました。Apple社が提示した電子書籍価格は、アマゾン社より3ドル高い12.99ドル。さらに、各売上の30%をコミッションとして受け取るという取引を提示したそう。

しかし、ハーパーコリンズ社は12.99ドルという価格設定に懸念を抱き、独自で価格付けを行なうことを希望。また、30%のコミッションにも反対したそうです。

そのやりとりを聞いたジョブズは、直接メールを返信します。

現在の電子書籍市場の問題点やApple社の強みなど6項目を挙げて、Apple社がハーパーコリンズ社にとっていかに妥当で意義があるか

端的に説明しました。そして、ハーパーコリンズ社が譲歩の動きを少し見せたところで、ジョブズは下記のようなメールを送って、一気に畳みかけます。

アマゾンは9.99ドルで売っていますがどうでしょう。彼らが正しいかもしれませんし、12.99ドルでも私たちが失敗するかもしれない。でも、私たちは提案した価格でやってみたいと思っています。それ以上の値段で売るとほぼ確実に失敗すると思うので、それは行ないません。

私が思うに、御社には以下の選択肢が考えられます。
1:Appleと手を組み、12.99ドル、14.99ドルで真の電子書籍市場のメインストリームを創出する。
2:アマゾンと組み、9.99ドルでやっていく。短期的にはより多くの利益が生めるかもしれないが、中期的にはアマゾンは9.99ドルの70%を払うと言ってくるだろう。彼らには株主もいる。
3:アマゾンから手を引く。顧客は御社の電子書籍を買うすべがないので、盗みを働くだろう。それが違法ダウンロードの始まりとなり、止めることはできなくなる。信じてください。私は自分の目で実際にその様子を見てきました。

もしかすると何か見逃しているかもしれませんが、その他の代替案は思いつきません。あなたはどうですか?

これは、1~3まで提案をしておきつつ、1以外にはマイナス点を盛り込み、結局1を選ばざるを得ないように上手く誘導している、交渉術に長けたメールです。実際これでハーパーコリンズ社はAppleと契約を結びました。

交渉が成立したのは、iPadが発表されるわずか1日前のことでした。

彼の神がかった交渉術はいたるところに事例があります。これらを良くみると、社の運命を変える大きな交渉の全てにおいて彼自身が相手と直接交渉を重ねてきた結果だということがわかります。鬼気迫る熱意と周到な準備に人の心が動かされたと言える良い事例だと言えます。

人と人の関係性を大切にする交渉術の専門家スチュアート・ダイアモンド氏

世界最高の交渉術の専門家:スチュアート・ダイアモンド

ジャーナリストとして、ピューリッツァー賞の受賞経験もあり、過去25年で50ヶ国・3万人以上のクライアントを抱えた人物。クライアントは、アメリカ軍の特殊部隊からグーグル、マイクロソフト、ヤフー、フェイスブックなど名立たる企業。

交渉は人間関係の核心です。人々が関わり合えば必ずそこでは交渉が始まります。言葉によるものであろうとなかろうと、意識的であろうと無意識的であろうと。自動車を運転するとき、自分の子供たちと話をするとき、買い物をするときも。そこから逃げることはできないし、あるのは、うまくできるかできないかのどちらかだけです。

– とあるインタビューにて –

そう語る彼が、グーグルに教えた交渉術があるそうです。

あるグーグルの交渉担当者が、アメリカ南部のあるオフィスの光ファイバーの容量を2倍にしなくてはならなかったことがありました。事業が半分まで進んで、既に600万ドルのコストがかかっていました。契約をやり遂げるためには、更に600万ドル支払わなければなりません。

しかし、それではコストがかかりすぎる。そこで、彼はグーグルの交渉担当者に「値引きを求める代わりに、“あなたのために何ができるでしょうか?”と聞いてください」とアドバイスをしたそう。

すると光ファイバーの供給業者から返ってきた答えは、「推薦状として使えるグーグル公式の書類を書いてもらいたい」でした。そして、グーグル側から再度こう伝えました。

「やりましょう。では、あなたは私たちのために、何をしてくれますか?」。結果、残りの工事を6000ドルで行なってもらえることになりました。実に99.9%の値引きです。

ダイアモンド氏は、「全ては人間的つながりのおかげです」と言っています。

2.ビジネスがうまくいく交渉術 – 事前準備 –

ビジネスにおいて交渉をする際、きっと「うまくいくだろうか」と悩むことになると思います。

「どうやって話を切り出そうか」「条件をどう伝えようか」などの中身だけでなく、「提案を聞いて相手が怒ったらどうしよう」「交渉決裂したらどうしよう」など、不安は尽きません

しかし、大切なのは交渉前の事前準備。事前準備はスムーズに交渉を進めるためだけでなく

  • 交渉中、不意な相手の提案やこちらを騙そうとする汚い戦術に惑わされないようになる
  • 交渉に期待する成果をあらかじめはっきりさせておくことで、その場の雰囲気に流されて安易に譲歩する危険が少なくなる
  • あらかじめ交渉の進行を予想して段取りを決めておくことで、交渉を効果的に進めることができる

といったメリットがあります。

事前準備を制するものは交渉を制する、といっても過言ではありません。では、具体的にどのような準備をすればいいのでしょうか。

最も効果的で効率的な準備方法は、「ファイブ・ステップ・アプローチ」と呼ばれるもの。段階を踏んで準備をする方法で、全体から細部へと意識を向けることができるものです。そして段階を踏み終わったら、全体を俯瞰することもできます。

この「ファイブ・ステップ・アプローチ」について、具体的に見ていきましょう。

STEP1. 状況の把握

人間誰しも、不愉快な事実や自分に不利な現実は、できるだけ直視したくないものです。しかし、不都合な事実を直視せず、安易な対策を立てても、意味がありません。

難易度が高い交渉も同じ。冷静かつ客観的に、状況を分析・把握することが大切です。

STEP2. ミッションの確認 

ここで言う「ミッション」とは、交渉を通じて最終的にどのような利益を獲得したいのか、合意によってどのような新しい価値を生み出したいと思っているのか、に関するイメージのこと。

つまり、「何のために交渉を行ない、合意をすることによって最終的にどのような問題を解決したいのか」ということです。

例えば、ある企業が営業ツールの1つとして、タブレットを導入しようと検討しているとします。

1台あたりのコストは、1万5000円と想定。この場合のミッションは「タブレットを1台1万5000円で導入すること」ではありません。タブレットを導入することで組織をどうしたいか、を考えます。紙の資料を減らして印刷コストを削減することや、タブレットを使うことで業務効率化を図って更に売上を上げる、ということがミッションです。

しかし、多くの場合は「ミッション」を考えずに、「タブレットを安く買えるように交渉しよう」と考えがちです。本当に実現したい目的を果たすためにミッションの確認は必要不可欠です。

STEP3. 自分の強みを探す

“交渉成功”と言える状態は、双方の利益が反映されている結果であること、その中に自分の利益が最大限反映されていることです。

そのためには、できるだけ新しい選択肢や条件を作り出し、お互いの対立点を克服し、一方的な譲歩ではなくメリットと引き換えに条件を変更することを繰り返していく必要があります。

その肝となるのが選択肢の形成

その選択肢の形成を行なうためには、自分の強みを明確にすることが大切。しかもできるだけ多くの強みを用意しておくことが必要です。

交渉で自分を守る最大の武器は、自分の強みのみ。その強みをどこまで駆使できるかが交渉の成否を左右します。そのため、事前に自分の強みを「棚卸し」しておく必要があります。

STEP4.ターゲティングをする

ミッションや自分の強みを考えたら、いよいよ協議事項について具体的に決めていきましょう。

交渉における”ターゲティング”

多くの人は“交渉の準備”というと、「金額をどうしようか」などといきなり決め始めてしまいます。しかし、交渉では最終的に自分の利益が最大化できるかどうかが一番大切ですから、個別の条件を決める前に大きな方向性を決める必要があります。

このターゲティングでは、ミッションを踏まえた上で、

  1. 交渉で話題になる協議事項を特定する。
  2. 協議事項に関して、相手に提示する条件を決定する。
  3. 自分が譲歩できる最低ラインを決める。

という3段階のアプローチがあります。きちんとステップを踏んで、ターゲティングしていきましょう。

STEP5. 合意できない場合を想定する

万が一、効果的な合意が得られなかった場合の打ち手を考えておく必要もあります。

このことをBest Alternative to a Negotiated Agreement、略して「BATNA(バトナ)」と言います。

先の例の場合で言えば、「複数社から見積もりを取ること」や「タブレットの導入をしばらく見合わせること」などがBATNAと言えます。

しかし、全ての交渉ですんなりとBATNAが見つかるわけではありません。非常に弱いケースやほとんどない場合もあります。そんなときのために、前もってBATNAを探して強化しておくことが大切です。

また、どんな交渉でも決裂する可能性を考え、決裂したときの対応策としてBATNAを用意しておくことが交渉成功につながっていきます。

3.ビジネスがうまくいく交渉術 – 3つの実践テクニック –

実際の交渉の際には、相手の心理的動向を把握してうまく利用することも多少は必要です。

とても簡単な例ですが、「◯◯◯しちゃダメ」と言われると、ついやってみたくなってしまったり、ブログなどで【閲覧注意】と書かれていると、ついついクリックしたくなってしまう人はいますよね。

これは、あまりに単純な例ですが、効果的に使うことによって大きな利益を上げることができるテクニックもありますので、まずは理解して、あなたの交渉にうまく活かしてください。

1. フット・イン・ザ・ドア 

“セールスマンがドアの隙間に足を入れることができれば勝ち”、という意味からきているテクニックです。

小さなことから段階を踏んで進んでいけば、本当の狙いを実現できるというものです。

実験結果と日常生活で活用する例

道端でいきなり「お金を貸してください」と言うのと、「いま何時か教えていただけますか?」と聞いた後に「お金を貸してください」と言うのでは、後者のほうが成功確率が高くなるそうです。つまり、人は1度でも要求を飲むと、次の要求も飲んでしまう傾向が高まるというわけです。ですから、はじめは小さなお願いからスタートすると、成功確率が上がります。

日常生活でいうと、例えば彼氏にエルメスのバッグを要求したい場合、いきなりエルメスのバッグを要求してはいけません。「お菓子を買って欲しい」→「デートの食事を奢って欲しい」→「この洋服を買って欲しい」→「エルメスのバッグを買って欲しい」、と徐々にお願いごとのハードルを上げていきます。まさに、1度要求を飲んでしまうと次の要求が断りにくくなるという、人間の心理学を利用したものです。

この「フット・イン・ザ・ドア」を常用しているのがアパレルショップなどです。

まず、「何かお探しですか?」と来店客に質問をして相手のクチからコミットを取ります。すかさず、「お客様に似合うものがありますので、お持ちしましょうか?」と提案。お客さんは“探している”と言った手前、断れません。

商品を持ってきたら「せっかくなので試着してみてください」と話しかけます。その時のお客側の心理は、“わざわざ持ってきてもらったので断れない”となります。

試着をさせた店員は「試着室の外の大きな鏡で見てみてください」と言いますよね。これは周囲に姿を見せることにより、外的コミットメントを取るためのものです。そして、外に出てきたら「お似合いですよ。どうしますか? お買い求めされますか?」と畳み掛けます。

ここまでくると、客側は断れないですし、断る理由もありません。

2. ドア・イン・ザ・フェイス

「ドア・イン・ザ・フェイス」は、前述した「フット・イン・ザ・ドア」の対称と考えると分かりやすいかもしれません。

最初に断られる前提で大きな要求を仕掛け、その上で本当の目的だった小さな目的を通す、というものです。

日常生活で活用する例

例えば、エルメスのバッグをいきなり彼氏に要求したとしても、断られる確率はとても高いですよね。ハイブランドの中でもエルメスは格が違います。だいたい50万円、高いものだと100万円を超える値段です。これでは、ほぼ要求が通ることはありません。しかし、コーチのバッグならどうでしょうか。

おそらく1/10くらいの値段で買えると思います。つまり、はじめに「エルメスのバッグを買って欲しい」という要求をした後に、「コーチのバッグでもいいから買って欲しい」と言えば、要求が通る可能性が高くなるというわけです。

自分が相手の頼みを断った、ということは、“相手を譲歩させた”ということになります。つまり、何度も相手のお願いを断るということは、相手に何度も譲歩させているということになるのです。

そして、断ることで罪悪感が生まれ、「次はお願いを聞いてあげよう」という気にさせることができます。ですから、何度か擬似的な譲歩をさせた後に本命のお願いをした方が、要求が通る可能性がずっと高くなるというわけです。

ここで注意点が1つ。リアル感のある大きな要求を出すことが大切です。最初から嘘だとバレる要求をしてしまうと、マイナスな感情につながるだけです。

不自然にならない範疇で、本来の要求よりも大きな要求を考えることが重要になります。

3. グッド・アンド・バッド・コップ

これは2人1組で行なう交渉テクニックです。

実際の例

刑事が犯人の顔に白熱灯を当てて眠らせないようにしながら、激しく尋問。途中でその刑事はトイレなどで席をはずします。すると、今まで記録を取っていた別の刑事が「田舎のお母さんは何してる?」と優しく話しかけたり、カツ丼の出前を頼んであげたり、優しくして白状させる…。

これが「グッド・アンド・バッド・コップ」です。まず1人が相手に対して強気の交渉を実行。交渉が難航したところで、もう1人が「まぁまぁ、相手の意見も聞きましょう」と物腰柔らかに入ってきて、有利に交渉をまとめるというものです。

他にも、心理学を用いた交渉テクニックは大小さまざまありますので、さらに興味がある方は書籍などで学ばれてください。

しかし忘れてはいけないのは「交渉とは、相手と自分がWin-Winになること」です。

特にビジネスは、長いお付き合いが発生する可能性が高いですから、自分ばかりが有利になるように交渉を進めてしまうと、関係性が崩れることも充分あり得ます。

その点に注意しながら、テクニックを駆使していきましょう。

4.おすすめの本

交渉術について書かれている書籍はたくさん出版されています。ビジネスを行なう上で、交渉術は必要不可欠なものですから、読んでみるのも良いかもしれません。何冊か、おすすめの書籍をご紹介しましょう。 

世界最強の交渉術―信頼関係を壊さずに最大の成果を得る6原則|著・ローレンス・サスキンド

1980年代にベストセラーとなり、今もなお“交渉の基本書”とされている『ハーバード流交渉術』の問題点を指摘し、現代のビジネスシーンに適合した交渉術を提案している一冊。

Win-Win戦略を提案して交渉手法を一変させ、お互いの利益になるように交渉戦略を立てて、当事者全てが満足いく結果を得ようという考え方です。現代の交渉場面に沿った内容で具体的なアドバイスを提案しているので、実用性はバッチリです。

プロフェッショナル・ネゴシエーターの頭の中|著・藤井一郎

日本トップクラスの成約を誇る敏腕M&Aアドバイザーが、行動経済学を駆使した最新の交渉術を紹介している著書。価格交渉で絶対優位に立つには? 自分の感情をどうコントロールするか?など、すぐに使えるビジネス交渉の極意を知ることができます。 

弁護士が教える 気弱なあなたの交渉術|著・谷原誠

“「押しが弱い」「口ベタで何も言えない」からこそうまくいく”、“相手の気持ちを動かすから、無理しなくても交渉がうまくいく”、“弁護士直伝の交渉シナリオ作成術”など、相手に強く言えない人向け交渉術のノウハウが詰まっている一冊。むしろ、その気弱さを武器にして「押さずに勝てる」交渉術を教えてくれます。 

5.まとめ

仕事を進める上で、多かれ少なかれ交渉は起こり得ます。そして、ビジネス上で成功を収めようとするのなら、交渉は避けて通れません。

一般的に“交渉”というと難しく感じたり、「相手をねじ伏せなければならない」と思えたり、マイナスのイメージがあるものですが、本当の交渉とは、自分も相手もハッピーになれるものです。

少しのコツさえ分かれば、交渉はスムーズに、そして成功しやすくなります。ここでご紹介したことは基礎中の基礎ですが、念頭に置いておくだけでも違う結果が生まれると思います。

ぜひ参考にしていただき、理想の未来を手に入れてください。