あなたは、今、ビジネスにおいて部下をサポートしたいがどうしたらいいか分からない、部下とのコミュニケーションがしっくりこない、と思っているかもしれません。
また、お客様とのコミュニケーションで、ついつい自分の方が商品の紹介などで話しすぎてしまい、相手に引かれてしまう、なかなか信頼されないと感じているかもしれません。
プライベートな場面では、異性や気になる相手と親密になりたい、距離を縮めたいと思っているかもしれません。
コーチングの基本的なやり方を身につけ、聞き上手になることで、相手に
- 共感してもらえた
- 理解してもらえた
- 話を聞いてもらえた
- 自分に興味を持ってもらえた
と思ってもらうことで、相手との心理的距離を縮め、心に入りこむことができます。
目次
1.コミュニケーション・ツールとしてのコーチング
コーチングは主に「相手に質問を投げかけ、相手から答えを引き出すスキル」とされています。
しかし、ここでお伝えするコーチングのやり方は、質問をして答えを引き出すという型に留まらず、以下の様な、コミュニケーション・ツールとしてご紹介していきます。
- 日常会話でいつでも気軽に使える
- 商談などの前に、雑談レベルで使える
- コーチングを習っていない人でも使える
- しっかり話をするシーンでも、5分ほどの短い時間の中でもさっと試せる
2.コーチング・スキルを最大限に活用するためのセットアップ
まずは、コーチング・スキルを活用する前に確認しておきたいことをお伝えします。
コミュニケーション・ツールというと、相手を目の前にして、コミュニケーションをしている間にだけ意識が向きがちですが、その前にも確認をしたり、話をする前のセットアップも重要です。
なお、コーチング・スキルがうまく活用できなかったというとき、これらが不十分である可能性が十分にありますので、振り返ってチェックしてください。
話しやすい距離や位置を保つ
そんなこと?と思うようなすごく些細なことですが、とても重要なこととして「話しやすい距離や位置を保つこと」が挙げられます。
人はそれぞれ心地よいと感じるスペース(パーソナル・スペース)があります。それに入り込まない程度に、かつ、話を促しやすい位置を工夫してみましょう。
面談をしたり、話をする場合、一般的によく座る位置は次のような対面する場所ではないでしょうか。
しかし、対面して着席する場合、相手の意識は話をすることよりもあなたに説明をすることに向く場合が多くなります。もしくは威圧的に感じたりすることもあるでしょう。
気軽に話をしてもらいたいとき、相手に話に没頭してもらいたいときには、(A)もしくは(B)の席へ座ることがオススメです。
また、相手の意識が散らないように、人通りが多いような場所や、人の会話が耳に入る、逆にこちらの会話が筒抜け、というような場所では、やはり相手も心を開きません。こういった環境を整えることも侮れません。
相手に意図を伝える
座る位置を変えてみようと試みる場合、気をつけたいのは、多くの人が、対面形式で座ることが当たり前だと思っていれば、急に隣に座られるとびっくりする可能性がありますよね。
ですから、ひとこと、相手に断る、了承を得ることをおすすめします。
- なぜそこに座るの?
- なぜいつもと違うの?
と分からないことが相手の一番の不安になり、心の壁をつくってしまいますから、きちんと意図を伝えましょう。
例えば、少し周りが騒がしければ「対面に座るよりも声が聞こえやすいから」と理由もあるでしょうし、伝えられるシチュエーションであれば「今日はぜひ、あなたの話をよく聞きたいから」というのもいいでしょう。
- お客様であれば「確認をしていただきながらお話を進めたいので、資料をお見せしやすいように」
- 部下であれば「今日はちょっとリラックスをして話をしてもらいたくて」など
伝えることで、「あなたの話を聴く場ですよ」「リラックスをしてよい場ですよ」というメッセージも同時に伝えることができます。
そして、あくまで、相手にとって心地よい場所であることが前提です。真正面がよい、と言われたら、相手にとってそれがベストな位置でしょうから、尊重をしましょう。
自分の準備は万全か?
意外に見落としがちなことが、自分の心と身体の状態を知ることです。
自分の身体が疲れていたり、心がざわざわしていたら、どうしても相手の話に集中することはできません。まずは、自分の心と身体が話を聞くのに万全な体制なのか、チェックをします。
その際に、簡単に取り入れられる方法は「心と身体の状態を知るスケーリング」です。
これを定期的に行う、定点観測をすることで、「ちょっと落ち込んでいるな」「状態がよくないかも」と気づくことができます。
気づくことで、話を聴ける状態でなければ、気分転換をしよう、と改善することができますよね。
聴くを7割
コーチング・スキルを活用する場面においては、相手が主役、そして質問をする聞き手役のあなたは、脇役です。
相手がほとんどしゃべっていて、ひとことふたこと、コーチであるあなたが声をかけるだけで、また相手がどんどんしゃべりだす、もしくは、自分の中でじっくり考えだす、ということがベストです。
ですから、目安として、相手が7割しゃべっていて、自分のしゃべっている割合は3割くらいだと意識する必要があります。
自分の話と相手の話を分ける
相手に話をしてもらうためには、相手の話を遮らないことが大切です。考え方のポイントとしては、「”この人は”こう思うんだな」と思うことです。
相手の話を聞いているからと言って、まったく同調をする必要はありませんし、自分とはまったく違う価値観を正しいと思って主張してきた場合、反論する必要もありません。
コーチングをしている時間は、あなたの主観やあなたの価値観は、脇においておきましょう。
✕「自分にはプロジェクトを成功させる自信はありません」
「そんなことはないよ!私だって、最初、大きなプロジェクトに挑戦するときはできないんじゃないかと思ったよ。だけどそれを乗り越えていくからこそ(・・・自分の話を続ける)」
「・・・」◎「自分にはプロジェクトを成功させる自信はありません」
「(え?いやいや、最初から自信がある人なんていないし・・だけど、あなたは)自信がないと思っているんだね」
「そうなんです・・・」
相手に興味を持つ
話をしっかり聴く、質問を繰り広げるためには、基本として、相手に興味を持たなければ難しいでしょう。
相手を好ましい相手だと捉えていれば容易かもしれませんが、決して好ましくない相手でも
- この人はどんな人なんだろう?
- どんな考えを持っているんだろう?
という意識を持てば、相手に焦点を当てることは可能になります。
3.話をいっそう盛り上げ、会話を広げるコーチングテクニック
では、具体的なテクニックに入っていきましょう。
聞き上手というと、質問上手だと思いがちですが、いくら上手な質問を投げかけたとしても、上手くキャッチができなければ会話のキャッチボールは成り立ちません。
まずは、比較的簡単に挑戦できる、聴くテクニックを磨きましょう。
聴くテクニック
日常生活の中でも、わざとそうしようと思ったわけではないんだけれど無意識的に、家族が話しかけているのにテレビに夢中になって、テレビに視線を向けたままで「うんうん」と口だけ答えて怒られた・・・という経験がある方もいらっしゃるかもしれません。
聴く姿勢は相手に話を促す上でとても大切なスキルです。
①あいづちだけで話を盛り上げる
あいづちとは、言葉だけではなく、視線、顔の表情、姿勢や声のトーン、間もとても重要です。
あいづちひとつで、相手は話を進めるかどうか、判断をしていると言っても過言ではありません。
人の話を引き出すのに、あいづちだけでも十分であり、下手な質問をするよりも、姿勢を前のめりにして「そうなんだ!」「なるほど!」「それでそれで?」といった言葉だけで、話を盛り上げることは十分に可能です。
とはいえ、「そうなんだ!」「なるほど!」などという言葉ばかり使っていては、相手ばかりか言っている本人も飽きてしまいます。次に活用できるのは、自分の気持ちを表す言葉です。
具体的には、相手が伝えている場面にいたとき、自分ならどんな気持ちを感じるだろうか、ということに意識を向けます。
例えば、すごく驚いた表情で「昨日、食事に行ったら◎◎さんに3年ぶりにばったり会って・・!」と言われれば
「へぇ、それはびっくりだね!」という言葉もいいでしょうし、すごく嬉しそうに話しているならば「そんなことがあると、すごく嬉しいね!」という言葉が適切でしょう。
もしくは、相手の言葉を受けて、今、まさにあなたが感じたこと、「そんなことを聞くと、私も嬉しくなった」などと伝えることも、自分の気持ちを分かってもらえた、と相手は感じるでしょう。
②相手の言葉を繰り返すだけで「分かってもらえた」を引き出す
「話を聞いていても相手の気持ちが分からない」という方、また話を聞いて適切な反応が分からない場合は、ただ単純に相手の言葉を繰り返すことがよいでしょう。
「分かってもらえた」「理解してもらえた」という感情は、相手の言葉を受け止めて繰り返すだけで引き出すことができます。
A:「昨日、お得意先でトラブルがあったんですよ・・・」
B:「(聞いてほしいのかな?解決策が欲しいのかな?どっちだろう?)そうなんだ、トラブルがあったんだ!」
A:「そうなんです・・・!」
相手の言い分が分からず、ついつい「で?」と言いたくなるような場面は、特に活用ができます。
聴くテクニックについては、
『ヒアリングはうまくなる! コミュニケーションの苦手な人が知っておきたいこと』
にも書いてあります、より詳細に身につけたい方はご参照ください。
質問のテクニック
コーチングのスキルを身に着けたいと思っているあなたは、きっと相手のことをもっと知りたい、と思っていることでしょう。
コーチングは質問のスキルだ!と思っている方が陥りがちなのは、質問するぞ!と意気込んで、どんどん質問をして、それが相手への詰問に変わってしまい、相手が心を閉ざしてしまうことです。
相手が答えやすいように質問を展開していくことも、重要なテクニックです。
①大きなテーマで質問するから広がらない
あなたは「最近どう?」とひと言だけ言われてどう答えていいか分からず困った、という経験はありますか?
仲がいい友だちなら「最近どう?」のひと言で「それがさ、聞いてよ・・」と展開していくかもしれませんが、「(どうって言われても・・・何を話せばいいんだろう?)まあまあです」といった会話を交わし、話が全然盛り上がらない、ということを体験したことがあるかもしれません。
これは、質問がとても抽象的であるため、答えづらくなっているのです。
まずは、「その靴、いいね!どこで買ったの?」「お昼ごはんは食べた?」など、話しやすいテーマや、身近なテーマから質問をするようにしましょう。
部下に仕事の進捗を聴いてもなかなか適切な答えが返ってこない、という場合は、もしかしたら「進捗どうなんだ?」と抽象的に質問をしていることが原因かもしれません。
「来週提出の資料は進んでいるか?」などと、細かく作業について質問をすることで答えが返ってきやすくなるでしょう。
②話を広げる=具体的なイメージを広げる
身近なテーマで、相手に質問をしたら、相手からとても漠然とした答えが返ってきて、そのまま話が終わってしまった、という経験をしたことがあるかもしれません。
例えば「ハワイに旅行に行ったんだってね!どうたった?」「よかったよ〜!」「そうなんだ〜」「・・・」と、この先を思いつかない、という具合です。
このような場合は、相手の言った「よかったよ」という言葉をほぐしてあげましょう。
- どんなところがよかったの?
- 何が一番よかった?
- 他によかったところは?
「よかった」というひと言では、何も情報を受け取っていないのと同じです。かたまりをほぐして、話を具体的に、イメージできるレベルにまで落としこむことで、どんどん話が展開していくことでしょう。
③なぜ?よりも、何?を活用する
話を広げるために、もっと質問しようと思うがあまり、なぜ?を繰り返し続けていると、相手が詰問をされているように感じてしまう場合があります。
子どもの頃を思い出すと「なぜ?」と問われる場合が怒られるシーンであり、いいことをしたときには「なぜ?」と聞かれないこともインプットされていることでしょう。
ですので、疑問形は、「何?」を活用するようにしましょう。
最近上司の命令で朝礼を始めた。部下にその目的が浸透しておらず、疑問に思っている場面
✕
部下「毎日の朝礼、効果が感じられないのですが、続けたほうがいいのでしょうか」
上司「そうか。なぜそんなことを思うんだ?」
部下「だって、朝礼をしたからって何も変化がないじゃないですか。みんな意味がないって言っています」(自分の主張の正しさの証明に走りがち)
上司「朝礼の効果なんて、すぐに出るものじゃないんだよ・・・」◎
部下「毎日の朝礼、効果が感じられないのですが、続けたほうがいいのでしょうか」
上司「そうか。何か問題だと思うことがあるのか?」
部下「朝礼の目的を、みんなが理解していないと思うんです。だからどこか形式的になっているような・・」
上司「(なるほど、もっと目的を浸透させる必要があるんだな)」
4.コーチングの神髄は、相手の反応を観察すること
厳しいことをお伝えすると、話を終えた後に自分がいくら「今日はたくさん聴けたな」「相手に興味を持てたな」と思っていても、相手が本当に「心から聴いてもらった!」と思わなければ、それはコーチング・スキルを活用し、聞き上手になれたとは言えません。
その落とし穴に陥らないためには、相手の表情や表情の変化に気づくことが必要です。
相手の表情、目線、態度、姿勢に注目する
人の感情や思考は表情や態度に現れるものです。表情や姿勢のパターンを敏感にキャッチすることにも意識を向けます。
心から笑っている場合、目尻にシワができたり、目も一緒に笑います。極端な例ですが、眉間にしわを寄せながら話をしている場合、決して楽しい気持ちを抱いているとはいえないでしょう。
目線がキョロキョロと動いていたら、あなたとの話に集中していない証拠でしょうし、心理的に警戒をしている場合はよく腕組みをすると言われています。
相手の声のトーンやスピードをキャッチする
嬉しい話をしているときや、楽しい気持ちを抱いているとき、声のトーンが上がったり、スピードが早くなったりします。興奮をしていたら声が大きくなることもあるでしょう。そのようなポイントは話が広がる可能性が高いポイントです。そのポイントを広げる質問をしてみましょう。
また、相手の声のトーンが上がったり、スピードが上がった場合は、こちらも合わせて声のトーンやスピードを上げることが効果的です。
ちなみに、これは誰かと比較をして、高いとか低い、ということではなく、その人のいつものトーンよりは、ということが基準になりますので、いつも注意をしておくことが大切です。
つかっている言葉に注目する
例えば、相手が話し始めに「いや・・」「でも・・」「だって・・」といった接続詞をつかっている場合、相手のくせにもよりますが、あなたが言ったことに対して否定をしているということです。修正を試みているということは、あなたが言ったことがずれているよ、というメッセージです。
相手から「そうそう!」「そうなんだよ」などと納得する言葉が出ていたら、あなたが相手の話を的確にキャッチできているという判断ができます。
聴くテクニック、質問のテクニック、観察に関して、より詳細な説明は、
『良好な人間関係を築く基本「ラポール」とは?幸せなコミュニケーションをとろう』
『ペーシングの実践方法集|コミュニケーションを劇的に変えるテクニックとは?』
にも記載しています。合わせてご覧ください。
5.本格的なコーチングについて
いかがでしょうか。上記までは、日常の生活の中で気軽に使える、コミュニケーション・ツールとしてのコーチング・スキルをご紹介しました。
気軽に使える、とは言っても、コーチングの基本中の基本ですので、十分に活用していただけることでしょう。
ここからは、より1対1で時間をかけて対話を重ねて目標達成するといったり、企業内において取り組むコーチングについて、考察を深めていきましょう。
コーチングの歴史と成り立ち
コーチングとは、簡単にお伝えすると「質問をして答えを引き出すスキルである」とお伝えしましたが、もう一歩本格的にご説明をすると
対話を重ねることを通して、クライアント(コーチングを受ける対象者)が目標達成に必要なスキル、知識、考え方を備え、行動することに対して自ら気づきをもたらし、成果へ向けて行動を促すプロセス
だと言えます。
コーチングの発祥地は1970年代のアメリカであると言われていますが、誰が発明した、などというものはありません。
それは、コーチングの性質として、対話を通して、相手が求めることを実現するための「プロセス」であり、理論やメソッドではないためです。
一説によると、1971年にアメリカの教育学を修めながらテニス・コーチをしていたティモシー・ガルウェイが、これまでの教え方よりも生徒の自発性を高めるやり方をしたほうが、初心者の成長が早いことに気がついたのがきっかけだ、という説もあります。
また、1970年代、カリフォルニアにある、人間性心理学を研究していたエサレン研究所で最初のコーチング普及活動が広がったとも言われています。
このエサレン研究所には、現在の各コーチングや心理学の流派の核となる人物が多く関係しています。
例えば、欲求5段階説で有名なアブラハム・マズローや、心理療法家のカール・ロジャース、NLPのグレゴリー・ベイトソンなど、創始者たちが相次いで滞在しては様々な実験的・体験的ワークショップを繰り広げ、その活動は全米から世界へと広まっていきました。
ちなみに、日本にコーチングが紹介されたのは、1997年、コーチ・トゥエンティワン(現在のコーチ・エィ)が日本最初のコーチ養成機関として設立され、2000年にCTIジャパンが設立されました。
コーチングが活用される場面
コーチングは当初、その人の人生をどう設計するか、といったテーマを扱うライフコーチングが主流でした。
■ライフコーチングのテーマ例
- 自分の人生においてやりたいことを実現する
- 恋人や夫婦、パートナーシップについて
- 趣味など、仕事以外の目標達成について
- 友人など人間関係について
- 自分に自信を持つ
・・・・など
その後企業人向けのビジネスコーチングが登場しました。
また、他にも、エグゼクティブにコーチをつけるといった、経営者や役員クラスがさまざまな戦略を練るために、弁護士や会計士と同様に外部スタッフのいち員として、コーチを雇うケースがあります。
■ビジネスの場面でコーチングを導入する目的
- 社員のモチベーションアップ
- チームワークの強化
- 社内コミュニケーションの活性化
- 組織変革の推進
- 目標達成
- 業績向上
- 次世代リーダーの育成
- 営業マンのコミュニケーション・スキルの工場
さらに、コーチングの歴史にて、最初にコーチングに気がついたとも言われるのが、テニスのコーチをしていた人物であることからも分かるように、スポーツ心理学とも合わせて、スポーツの分野でも幅広く取り入れられています。
海外のトップアスリートたちの間では、早くから身体的なコーチをつけるとともにメンタルのコーチをつけていたと言われています。
また、医療や教育の現場にも取り入れられたり、子育てコーチングというジャンルも存在し、様々な分野で取り入れられています。
コーチングが不適切な場面
これまでコーチングが活用される場面を挙げてきましたが、もちろん、コーチングは万能ではありません。
対話を重ねることを通して、クライアント(コーチングを受ける対象者)に自ら気づきをもたらすことが前提であるため、以下のような場面ではコーチングを用いないほうが好ましいでしょう。
■緊急性が高い事案のケース
相手に理解を示し、相手に考えさせるというプロセスをとるため、スピードを重視した緊急時の場合には向きません。
解決しようとしている課題領域が、重要ではあるが、緊急性の差し迫っていないものである場合に、コーチングのアプローチが機能すると言えます。
■相手の知識の成長が不十分であるケース
意欲があるが、知識が低い場合、「どう思うか?」と質問をして引き出そうとしたり、気づきをもたらそうとしても、知識が低いためアイディアがでるわけがありません。
アイディアを無理やりひねり出しても質に問題があるといった場合も出てくるでしょう。コーチングよりも、知識を教えることが必要です。
6.コーチングでおすすめの本
この記事をご覧になって、もっとコーチングについて詳しく知りたい、という方へ、オススメしたい本をいくつかご紹介します。
もっとコーチングについて詳しく知りたい方へ
『新インナーゲーム 』W.T.ガルウェイ (著)
テニスの習得に重きを置いた本ではありますが、コーチングがなぜ、相手から引き出すものなのか、その原理を理解するのにとても役立つでしょう。つまるところ、能力開発について書かれていますので、どのようなジャンルでも応用可能です。
『この1冊ですべてわかる コーチングの基本』コーチ・エィ (著)
コーチングの原理原則的なところから、コーチのもつべき視点、コーチングのプロセスなど、基本が網羅されている本です。スキルのみではなく、根本的なことも含めて理解したい方へオススメです。
ビジネスシーンで、もっとコーチングを活用したい方へ
『図解コーチングスキル』鈴木 義幸 (著)
コーチングのスキルが、具体的に図解されているのでとても分かりやすいです。また、悩みに応じて、このスキルを使うと良い、というチャートもあるので、初心者には入りやすいでしょう。
『チームリーダーのコーチング 基本とコツ』本間 正人 (著)
会社でリーダーの立場に立つ人に役立つ本、として書かれています。こちらも、図解で視覚的に理解しやくなっています。コツやケーススタディなど細かく設定されているので、こちらも初心者にとって分かりやすい本です。
7.まとめ
ここでは、聞き上手になるための、日常会話に気軽に取り入れられるコーチングスキルについて、お伝えしました。すぐに身につくものもあれば、もしかしたら習得に難しさを感じるものもあるかもしれません。
しかし、相手に興味を持とう、という意識があれば身につくものばかりですので、ぜひ日々の会話に取り入れてみてください。
そして、実践してみては、できたかどうか1つずつチェックをする、という繰り返しで、確実に身についていきますので、ぜひ、何度か読み返すなどして試していってください。そうやって会話を楽しむことで、相手に「理解してもらえた」「話を聞いてもらえた」と相手の心に自然に入ることができます。
なお、もっと詳しくコーチングのことを知りたい、1対1のコーチングをしっかりと行いたい、と思う場合には、コーチングを具体的に詳しく学ぶため、専門のスクールなどに通われてみてください。
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